【金沢ポート】遊学館高・鈴⽊柊平獲得秘話 西東輝監督の心を動かしたインターハイでの一戦
プロチームの監督から見た鈴木柊平
追伸:鈴木選手に関して、良く聞かれる質問についてお答えします。 <Q1:鈴木選手がインターハイ団体戦で全勝できたのはなぜですか?> A1:準々決勝4番での逆転勝ちが彼をヒーローに押し上げました。 <高校総体2024 男子学校対抗準々決勝> 明豊(大分)2-3 遊学館(石川) 〇植木大陽 3-2 薜大斗 利光芳輝 1-3 北口愛斗〇 〇植木大陽/嶋田碧虎 3-0 鈴木柊平/坂田陽哉 嶋田碧虎 2-3 鈴木柊平〇 横田卓磨 1-3 坂田陽哉〇 卓球選手は大舞台、特に一発勝負のトーナメントでの死戦を乗り越えると一気に伸びる瞬間があります。 鈴木柊平選手において今年のインターハイ団体戦の準々決勝がその試合にあたります。 この試合では自らダブルスを落とし、鈴木選手が4番シングルスで負けたらチームも負けという崖っぷちの状況でした。 この試合、ゲームカウント1-2と劣勢の場面で相手のスーパプレーを喰らった直後にサーブミスをしてしまい、追い込まれていました。 この完全に心が折れかけていたタイミングで植木監督が取ったタイムアウトは絶妙でした。(恩師を持ち上げるつもりは無いですが素直にこのベンチワークは大きかったです) ここから鈴木選手は気持ちを切り替えて復活し、大逆転。彼のキャリアの転換点となったと思います。 ここで負けていたら鈴木は平凡な選手で終わっていたかもしれませんが、この明豊戦の大逆転が鈴木を今大会のヒーローに押し上げる要因だったと思います。 <Q2:高校生の鈴木選手はTリーグで勝てますか?勝つための条件は?> A2:彼の特長を活かせれば通用します。長所の豪快さを活かすための「仕掛け」が鍵です。 鈴木選手のプレーの特長を一言で言うと「豪快かつセンスフル」です。 トップ選手で言えば吉村真晴選手(琉球アスティーダ)と有延大夢選手(T.T彩たま)を足したようなプレーをします。 もう少し言語化すると、運動量の多さ(フットワークの良さ)とスイングの種類が沢山あるところが長所です。 ラリーになれば、フォアハンドもバックハンドも小さなフォーム、中くらいのフォーム、大きなフォームを自由自在に使いこなせます。これはトップ選手でもなかなかできることではありません。 サーブは複数種類あり、今は馬龍のモノマネサーブを試合で使うなど、どんどん新しいサーブを柔軟に取り入れていきます。 レシーブもチキータが得意ですが、インターハイではチキータを打つと見せかけてストップやツッツキを効果的に混ぜていたことが、対戦相手からしても脅威で、尚且つ鈴木選手の安定感にもつながっていました。 フォア前の台上が今後もっと伸びていくと、プレースタイルに幅が広がり展開が増えていくと思っています。 彼の伸びとキレのあるドライブを万全の体制で打てれば、Tリーガーたちにも通用します。ただし、それをさせてもらえないのがTリーグです。 昨年の五十嵐選手もシーズン前半にそこで苦戦をし、改善して勝てるようになってきました。 鈴木選手の課題は、ドライブを打つ前の準備打の攻めの早さと安定性です。Tリーグクラスでは、「絶好のレシーブをしないと一撃でやられてしまう」という恐怖が常につきまといます。 それが故に焦ってリスクあるレシーブをしようとすると、凡ミスに繋がります。一方で凡ミスを怖がって入れるだけのレシーブになると狙われて一撃でやられるという悪循環になります。 そこで大切なのは6割程度の威力でいいので、一撃を喰らわないレシーブの安定感を上げることです。早速練習の指示はしており、そこを重点的に指導・強化していきたいと考えています。
西東輝