無念の2軍降格となった阪神・小野寺暖が掲げたメンタルの成長
【球界ここだけの話】悔しさの中で冷静に己の現状を見つめ直した。阪神・小野寺暖外野手(26)が今季初めてスタメン出場した5月30日の日本ハム戦(甲子園)を振り返った。 「悪いときの気持ちが空回りする感じが出てしまいました。昔からそういうタイプだったので、久しぶりに悪いところが出たなという感じ。何とかしなきゃという思いが強すぎた」 「3番・左翼」に名を連ねるも、3打数無安打3三振。貧打に苦しむチーム状況、そして長らく響かせていない快音が重圧としてのしかかった。 ここまで13試合の出場で、打率・077(13打数1安打)。ヒットは開幕2戦目の3月31日の巨人戦(東京ドーム)で今季初安打までさかのぼる。5月9日には今季初の2軍落ちも喫した。「練習では全然悪くないんですけどね…」。いざ、試合に入ると結果を求めるあまり、結果が出ない。 絶好調だった昨シーズンを顧みた。もっと自信を持って打席に立てていた。「スタートがよかったので一年間、『いける』と思って打席に向かうことができていました」。2023年は43試合の出場で打率・347(75打数26安打)、11打点。持ち味の粘りでしぶとく食らいつく。1年を通して安定した成績を残せたのはメンタルが落ち着いていたからだった。 「ここまで来たら技術というよりもメンタルだと思う。そのメンタルを、自信が持てるメンタルになるように練習するだけです」 6月7日には今季2度目の2軍降格となった。鳴尾浜には自主トレをともにする師匠・大山もいる。小野寺は開幕前も「ビッグマウンテン(大山)さんの前か後ろを打てるように、〝麓〟になれるように頑張ります」と誓っていた。そんな先輩と懸命に汗を流し、昨年の自信を取り戻す。そしてまた、1軍の舞台へと帰ってくる。(原田遼太郎)