32年飛んだANA 767BCF貨物機JA8323、"飛行機の墓場"ビクタービルへ
全日本空輸(ANA/NH)のボーイング767-300BCF貨物機(登録記号JA8323)が11月12日、羽田空港から日本を離れ、米国の売却先へ向かった。アンカレッジを経由し、“飛行機の墓場”として有名なビクタービルが最終目的地となる。JA8323は、定期便を運航する特定本邦航空運送事業者(日本の航空会社)が国土交通省航空局(JCAB)に登録している航空機ではもっとも古い機体で、旅客機と貨物機として通算32年間飛び続けた。 【写真】羽田から離日しビクタービルへ向かうANAの767-300BCF JA8323 JA8323は、32年前の1992年にANAの旅客機として引き渡された767-300ERを、2010年に貨物機へ改修した「BCF(ボーイング・コンバーテッド・フレーター)」と呼ばれる貨物専用機。旅客機時代は、エアージャパン(AJX/NQ)の前身となる国際チャーター便の運航会社ワールドエアーネットワーク(WAC)の機材としても運航された。 旅客機は通常、就航から20年程度運航され、貨物機に改修された場合はさらに10年から15年程度飛ぶ。JA8323の場合、旅客機として18年、貨物機として14年の合わせて32年にわたり飛び続け、10月31日の広州発成田行きNH8490便を最後に現役を退いた。 自動車のナンバーにあたる登録記号は、かつては8000番台がジェット機やターボプロップ機に割り当てられ、定期便を運航する航空会社の機体は、ほとんどが日本国籍を示す「JA」と8000番台の数字を使用していた。 1996年から運用が始まった現行の登録記号取扱規則では、数字と英大文字を組み合わせたものも登録できるようになり、従来からの数字4文字に加え、数字3文字と英字1文字、数字と英字2文字ずつの2種類も登録できる。このため、ANAの貨物機でも、新造機の767-300Fは2002年9月に初受領した「JA601F」など、末尾にローマ字を組み合わせた登録記号になっている。 12日は羽田空港の703番スポットを午後4時21分にアンカレッジ行きNH9432便として出発。C滑走路(RWY34R)から同39分に離陸した。経由地のアンカレッジへ到着後は、世界各地から退役機が集まることから“飛行機の墓場”とも呼ばれる米カリフォルニア州ビクタービルのサザンカリフォルニア・ロジスティックス空港へ向かう。 11月時点のANAの767貨物機は、新造機767-300Fが4機(JA601F、JA602F、JA604F、JA605F)、改修機767-300BCFが2機(JA8970、JA603A)の計6機となる。
Tadayuki YOSHIKAWA