【コラム】最初から最後までヒーローだった小久保玲央ブライアン、チームを支えた守護神の涙 | AFC U23アジアカップ
今大会の主役だったのかもしれない。 アジア王者を懸けたウズベキスタンとの決勝戦。日本は、後半アディショナルタイムに先制点を奪うも90+8分にPKを献上し、大ピンチを迎えていた。 この緊張感高まる場面。ゴール前に立ち、相手キッカーと対峙していた小久保玲央ブライアンは「自分はぶっちゃけた話、あまり自信がなかった」と振り返る。ただ、そんな小久保の背中を支えたのは仲間の言葉だった。 「チームのみんなが駆け寄ってきてくれて、みんなが背中を押してくれた。『いや、ブライアンなら止めてくれるでしょ』という感じで言ってくれました。(PKを献上するハンドをしてしまった)セキ(関根大輝)は『絶対にブライアンなら止められる』と。そういったみんなからの言葉を信じて、(自分の)思った方向に飛べたので、それが結果に繋がったと思います」 キックの瞬間、分析通りの方向にジャンプ。見事なパンチングでボールを外に弾いた。文字通り”完璧なセーブ”だった。それでも、すぐには浮かれなかった。CKが連続するも感情を抑えながら冷静に対応。そして、一連の流れが終わると、高らかに叫んだ。 このピンチをしのぎ切ると、チーム全体で最後まで我慢強い対応を続けて無失点を継続。VARの介入等もあり18分という長いアディショナルタイムを過ごすことになったが、ついに歓喜の瞬間を迎えた。 試合が終わる直前、小久保の目には光るものがあった。「このチームが終わってしまうんだとか、日本国民が応援してくれているということを考えて、感情的にグッと来るものがありました」。こういった言葉が素直に出てくるのが小久保らしい。 今大会のチームにおいてムードメーカーの一人だった。最年長だから動かないのではなく、最年長だからこそ後輩との距離を縮めるためにさまざまな思考を巡らせた。時には大人数でのゲームを催し、チームの結束力を高めた。チームが一丸となる雰囲気を作ったという点でも、小久保の存在は欠かせなかった。 「アジアの厳しい戦いはチーム力がなければ絶対に勝ち切れないなと。一人ひとりが結束しないと戦い抜いていけないと中国戦が始まる前から思っていた。自分が好きなゲームを始めたり、みんなでやったりなどは意識していました」