娯楽サービス業界の景況感、3カ月連続の悪化
娯楽サービス業界の最新景況レポート
2023年5月に新型コロナ感染症が5類に移行して1年あまりが経過した。人流回復やインバウンド需要の増加を背景に、経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」(2024年5月時点)では、遊園地・テーマパークの2023年度の売上高はコロナ禍前を上回り、それに伴い従業者数も増加している。一方で、フィットネスクラブの2023年度の売上高はコロナ禍前の水準には戻っておらず、会員数と従業者数は減少している。 夏の本格的なレジャーシーズンを前に、娯楽サービス業界(映画館、フィットネスクラブ、ゴルフ場、テーマパーク、パチンコホールなど)の景況感はどうなっているのか。取り巻く環境や景気DI[1]の動きを分析した。
娯楽サービスDI、全産業の景気DIを上回るも3カ月連続で悪化
帝国データバンクが毎月実施しているTDB景気動向調査で算出した娯楽サービスDI[2]の推移をみると、2022年後半から感染予防策の定着や入場制限の緩和をはじめとする営業環境の好転により、全産業の景気DIを上回る水準となった。 その後、マスク着用ルール緩和により娯楽需要の回復が期待されたことで、2023年3月のDIは50.9を記録した。しかし、2023年下半期は45台で推移し、直近の2024年4月からは3カ月連続で前月を下回って推移している。 7月下旬から夏休みシーズンに入り、人の移動が活発となることで娯楽サービスの景況感は改善が期待される。一方で、今年の夏の気温は観測史上最も暑くなった昨年に匹敵すると予想され、酷暑による外出の手控えやエアコンなどの電気代負担の増加が、娯楽サービスへの支出金額を減らす要因となる可能性もある。 2022年後半から全産業の景気DIを上回る水準で推移してきた娯楽サービスDIは、足元では前月比3カ月連続の悪化となった。テーマパークのようにコロナ禍前より改善した業界もあれば、パチンコホールのように少子高齢化やレジャーの多様化、法規制、生活スタイルの変化に伴い、需要が十分に戻らない業界も存在する。今年の夏は、酷暑により屋内の娯楽サービスが人気を集めることが予想されるものの、娯楽サービスへの支出が大幅に増える要素は物価高の影響を受けて限定的といえそうだ。 [1] 景気DIは、TDBが算出する全国企業の景気判断を総合した指標。50を境にそれより上であれば「良い」、下であれば「悪い」を意味し、50が判断の分かれ目となる [2] 娯楽サービスDIは、「映画館」「ゴルフ場」「フィットネスクラブ」「遊園地」「パチンコホール」「カラオケボックス」などの景気DIから算出