能登半島地震発生から5か月 石川県輪島市出身のシナリオライターが見つめる“ふるさと”の今
町野町においても公費解体に先駆け、危険な状態にある家屋の緊急解体が進められていますが、被害が甚大なため、まだ安心できるような状況にはありません。 被災家屋が建ち並ぶなかでの生活が日常になってしまっている今、特に小さなお子さまは、倒壊しかけた家屋にぬいぐるみを見つけて駆け寄ってしまうなど、危険な状態を正しく認知できない可能性もあり、今後一層の注意喚起の必要性を感じております。 ○なかなか進まない片付け、6月からは、ごみ袋も有料袋に戻る 5月の記事で、「家の片付けを進めたくても、ボランティアに頼めない現実」を紹介させて頂きました。町野町は応急危険度判定で「赤」と判定されている家屋が多く、ほとんど自分たちだけで片付けを進めている状況です。 公費解体が決まったとはいえ、思い出の品や今後の生活に必要なものはできるだけ残したいと、家の片付けを進め続ける人たちの姿があります。 奥能登の家は、非常に大きく、一般的な民家でも都会の人が想像する民宿や料亭ほどの広さがあります。ボランティアの方にも頼めず、傾いた家の中で必要なものとそうでないものを分ける作業。本当は残しておきたいのに、保管場所の問題で残せないものも多くあります。 また、家が大きく傾いていることから、気分が悪くなり、作業時間が限られてしまうという問題や、家が倒壊するかもしれないという恐怖もあり、思うように片付けを進めることができないのです。 6月より輪島市の燃えるゴミは有料袋に戻ります。それまでには、と今日も片付けをされる方々の苦労は、はかりしれません。 久しぶりに自宅の片付けに入ったところ、野良猫やスズメ、イタチなどの野生生物が住み着いて留守番をしていたという話や、ツバメが戻って来て巣作りをしていたという話も聞かれるようになりました。 「留守番」という言葉選びに、能登の人らしい優しさと同時に、それだけ家が宝物であったということが伺えます。ツバメに関しても、石川県では、県全体で「ツバメ調査」が行われており、毎年5月になると戻ってくるツバメを楽しみに待っていたものでした。