とにかく片岡凛が凄まじかった…朝ドラでも見せた演じ分けの説得力とは?『嘘解きレトリック』第5話考察レビュー
三つ子の葛藤
品子たちが1人しかいないという設定になっていたのは、双子は災いを呼ぶという迷信があったから。しかし、品子たちはそれを伝えられておらず、「何も知らなかったから、ただ守るしかなかった」らしい。 自我が芽生え始めたとき、彼女たちはどれほど葛藤を抱いただろうか。明らかに、違う人物なのに、外見の個性を出さないようにしなければならない。いるはずなのに、いないようなものとして扱われる。どれだけ、しんどかったことか。 それだけでなく、三つ子のうちのひとりが亡くなったときも、死を公表することはできなかった。事件にすることもできず、ただひっそりと弔うことしかできない。 人形が死んだというように見せかけようと決めたとき、2人はどんな気持ちだったのだろうか。きっと、悔しくて悲しくて、切なかったと思う。 だからこそ、事件の真相が明らかになった後、品子たちが自分たちの好きな格好をしている姿が見られて、本当に良かった。もう、自分の存在を隠さなくてもいい。人形のフリをしなくてもいい。人形っぽい服装に身を纏う必要もない。
左右馬&鹿乃子 またもや「惚れるしかないやろ案件」勃発
今回も、左右馬は鹿乃子のサポートをさりげなくしてあげていたのが、素敵すぎた。鹿乃子が、辛い想いをしないように、できるだけ危険なところからは避けさせようとする。そして、雅(北乃きい)に嘘が分かるのはなぜか? と聞かれても、絶対に答えようとしない(雅は、何やら勘づいていそうだったが…)。 また、鹿乃子が「これで良かったのでしょうか。品子さんの力になりたかったのに、こんな事件になってしまって…」と落ち込んだときは、「鹿乃子はぐるぐるが得意だねぇ」と茶化しながら、「相手に肩入れしすぎるあまり、相手にとって都合の悪いことはすべて、自分の責任かのように嘆き、のたうつ。自分が正しいと思うことをしたんなら、それで良かったんだよ」と、的確で優しいアドバイスをしてあげる。 まさに、惚れるしかないやろ案件なのだが、2人はまだ恋愛に発展しているわけではなさそうだ。 恋人になるにしろ、最強タッグを極めていくにしろ、どちらにせよ、左右馬と鹿乃子にはずっとそばにいてほしい。そして、お互いに足りない部分をサポートしながら、生きていってほしい。 ずっと、「バケモノ」と言われて孤独を感じていた鹿乃子が、もう寂しさを感じることがないように。そして、強く見えるけれど、繊細な部分がありそうな左右馬のことを分かってあげる存在は、鹿乃子しかいないような気がする。 【著者プロフィール:菜本かな】 メディア学科卒のライター。19歳の頃から109ブランドにてアパレル店員を経験。大学時代は学生記者としての活動を行っていた。エンタメとファッションが大好き。
菜本かな