これは懐かしい! 2008年モデルのジェッタTSIコンフォートラインは、どんなフォルクスワーゲンだったのか? 超お得な国民車!!
ちょっと古いクルマとしてオシャレに乗るのはどうでしょう?
ご存じ中古車バイヤーズ・ガイドとしても役立つ雑誌『エンジン』の過去の貴重なアーカイブ記事を厳選してお送りしている人気企画の「蔵出しシリーズ」。今回は、2008年7月号の特集「価格を超えた価値あるクルマ」のなかでモータージャーナリストの国沢光宏さんが価値あるクルマとして上げたフォルクスワーゲン・ジェッタ(懐かしい!)の記事をお送りする。高性能と低燃費を両立したTSIエンジン、気持ちのいいDSG、丁寧に作られたボディなど、297万円のジェッタは、当時、超お得な国民車だった。 【写真7枚】2008年モデルのフォルクワーゲン・ジェッタ 超お買い得な国民者を写真で見る ◆手が届くというのが大事! 商品の価値というのは、人によって大きく異なる。客観的に「なんでそんなモノに大金を投じるのか?」と判断される対象物だったとしても、本人が納得しているなら深い満足度が得られます。自動車の評価だって同じ。特に輸入車についちゃ文明というより文化(なくても困らないけれど有った方が人生楽しい)。個性的な観点で評価を下す人も居れば、猛烈にシャバい精神構造の人だっている。悲しいことに私は典型的な後者。現実主義者だからして、実現不可能な夢など見ない。今回も手が届く範囲で「価格を超えた価値」のあるクルマを紹介したいと思う。 ということで今回ピックアップしたのはVWジェッタTSIコンフォートライン。このクルマの「適度な価格イメージ」っていかほどだろうか。まず1.4リッター直4+ツインチャージャーで170psを発揮する高性能型TSIエンジンのスペックは、無過給エンジンの2.4リッター級に相当。ほぼ同じ出力を発生するCセグメントのライバルを探すと、輸入車なら300万円少々。日本車ではトヨタ・ブレードや、マツダ・アクセラあたりで250万円程度というプライス・タグが付く。ジェッタTSIコンフォートラインは297万円。カタログのスペックを比べると、ほぼ横並びの商品力と考えてよかろう。 ◆DSGだけで20万円は安い 試乗するとどうか? クルマ通なら、走り出すや「うおおおぉぉ!」と感じるハズだ。初期のDSGはギクシャクすることも多く、むしろ足を引っ張っていた。しかし最新のDSGに乗ると、ひたすら滑らか。スタートの一瞬こそトルコンのスムーズさに届いていないものの、一度走り出すや気持ち良いの何の! こんなトランスミッション、DSG以外にありません。ギアが間髪入れず「すこん、すこん」とシフトアップしていくのである。バイクに乗る人なら解ってもらえると思うけれど、クラッチを切らず、アクセルを少し戻してシフトアップした時のイメージ。 ワインディング・ロードにおいては、もはやクラシカルなトルコン多段ATや、CVTなど相手にならない楽しさ。アクセルをワイドオープンした状態でシフトアップすると、ギア・チェンジの際に「ボワ!」という空気音が入る。これ、シフト・ショックを抑えるための制御で出る音なのだが、大いにソソられます。MTの楽しさにゃ届かないまでも、ATとしちゃ抜群。DSGを価格に換算するのは難しいけれど(他のメーカーなら間違いなく20~30万円程度の割り増し料金を取るだろう)、このトランスミッションだけでVWが欲しくなってしまうほど。 ◆燃料代も年5万円安い! ゴルフ兄弟の一員としての仕上がりにも価値を付けたい。すでにデビューから5年経過したとはいえ、レーザー溶接採用のボディ剛性感ときたら、未だライバルを圧倒する。しかも良質のショックアブソーバーを使っているため、乗り心地の質感はプレミアム・セグメントに属すアウディやベンツにも匹敵するほど。さらに4ドアのジェッタはなぜか同じ170psのゴルフGT TSIより15万円も安い。ちなみにゴルフのステーションワゴン・ボディは、本来ならハッチバック・ゴルフの15~20万円の上乗せになっておかしくないのにハッチバックと同等の価格設定。これも魅力。ゴルフを除きメキシコ工場製ながら、今や生産管理は厳格になった。 トドメが燃費だ。ジェッタでもゴルフでもVWのTSI+DSGに試乗したら、ぜひとも燃費計をリセットして計測して欲しい。流れの良い郊外路であれば、コンスタントにリッター15km前後走るだろう。90km/hにクルーズ・コントロールをセットして高速巡航すると、20km/リッターに届くイキオイ。Cセグメントのライバルより間違いなく20~30%燃費が良い。仮に年間20万円ガソリンを使っていれば、5万円前後節約出来る。10年間乗ると50万円差。こら大きい。DSGの気持ち良さ、ボディの仕上がり、そして好燃費などを総合して評価すると、あと40万円ぐらい高くてもいいと思う。 文=国沢光宏 写真=望月浩彦 (ENGINE2008年7月号)
ENGINE編集部