感じ悪すぎる上司の伝え方。「それって急ぎ?」「今じゃないとダメ?」あと1つは?
感じ悪すぎる上司の伝え方。「それって急ぎ?」「今じゃないとダメ?」あと1つは? それを語るのは、「感じのいい人」に生まれ変われるとっておきのコツを紹介する書籍『気づかいの壁』の著者・川原礼子さんです。職場で困っている人を見かけても、「おせっかいだったらどうしよう…」と躊躇したり、「たぶん大丈夫だろう…!」と自分に言い訳したり……。気づかいをするときには、つい「心の壁」が現れてしまい、なかなか一歩が踏み出せないことが、あなたにもあるのではないでしょうか? この連載では、「顧客ロイヤルティ」をベースに、ビジネスセミナーへの登壇やコミュニケーションスキルの研修講師を通して、全国200社・2万人以上のビジネスパーソンに向けて教えてきたノウハウを、さらにわかりやすくお伝えします。本稿では、本書には入りきらなかった「気づかいのコツ」について紹介しましょう。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健) ● 「いつでも相談してね」への不信感 親切そうに見えて、実は相手を困惑させている言葉ってないでしょうか。 たとえば、新人に伝える「何かあったらいつでも相談してね」「わからないことがあったら、誰かに聞いてね」 何もかもが初めての新人には、「わからないとき」「いつでも」「何か」「誰か」の基準がわかりません。 さらに、いざわからないことがあって先輩に相談しに行くと、「急ぎ?」「今じゃないとダメ?」と聞かれることがあります。 すると、新人は「いつでもいいと言ったのに…」と感じ、そこから不信感が生まれたり、「急ぎでないと質問してはいけないのか」と誤解してしまいます。 実はこれ、ある新人との面談で聞いた話です。 先輩社員としては、緊急度を確認したかっただけだったのでしょうが、結果的に不信感や誤解を生んでいました。 そして、残念なことに、こうした小さな不信感や誤解が積み重なり、最終的には離職の一因にもなることもあります。 ● 「察してほしい」だけじゃダメ では、誤解を生まずに親切な気持ちを伝えるにはどうすればいいのでしょうか。 私は「当たり前のことこそ、丁寧に伝えること」だと思います。 むしろ、丁寧すぎるくらいがちょうどいいかもしれません。 たとえば、「わからなかったらいつでも聞いてね」と言うのであれば、「ただ、どうしても手が離せないときもあるから、最初に『今、ちょっといいですか?』とだけ聞いてもらえると助かります」まで、具体的に伝えましょう。 また、急ぎかどうかを確認したい場合は、「お客様が待っているなら、今すぐ聞きます。もし待てる相談なら30分後でもいいですか?」と相手に選択肢を示し、「後でOK」なら「では、30分後に待っていますね」と付け加えることです。 こうすれば「拒絶された」と感じにくくなります。 「それくらい、教えなくても察してほしい」 そういうダメな伝え方をする人もいらっしゃるかもしれません。 たしかに新人にも様子を見て「察する力」「気づかう力」を持ってほしいですが、それは経験を積む中で育まれるものです。 周囲から受けた「されて嬉しかったこと」が積み重ねられることで、その人の「察する力」「気づかう力」も、成長していくものだと思います。 (本記事は、『気づかいの壁』の著者・川原礼子氏が特別に書き下ろしたものです。) 川原礼子(かわはら・れいこ) 株式会社シーストーリーズ 代表取締役 元・株式会社リクルートCS推進室教育チームリーダー 高校卒業後、カリフォルニア州College of Marinに留学。その後、米国で永住権を取得し、カリフォルニア州バークレー・コンコードで寿司店の女将を8年経験。 2005年、株式会社リクルート入社。CS推進室でクレーム対応を中心に電話・メール対応、責任者対応を経験後、教育チームリーダーを歴任。年間100回を超える社員研修および取引先向けの研修・セミナー登壇を経験後独立。株式会社シーストーリーズ(C-Stories)を設立し、クチコミとご紹介だけで情報サービス会社・旅行会社などと年間契約を結ぶほか、食品会社・教育サービス会社・IT企業・旅館など、多業種にわたるリピーター企業を中心に“関係性構築”を目的とした顧客コミュニケーション指導およびリーダー・社内トレーナーの育成に従事。コンサルタント・講師として活動中。『気づかいの壁』(ダイヤモンド社)が初の著書となる。
川原礼子