「クラシックカーの隣でガレージ葬」「15万円で済む“小さなお葬式”も」 コロナ後の葬式、最新事情をレポート!
「6畳間が一つあれば」
小さなトレンドになってきているのが自宅葬だ。 「故人様との距離感など、昔の自宅葬の“いいとこどり”をし、仰々しいことは排除。あたふたせずに時間を使えます」 こう話すのは、16年設立の、その名も鎌倉自宅葬儀社(神奈川県鎌倉市)の馬場偲さん(40)。名刺の肩書きに「自宅葬コンシェルジュ」とある。 葬儀業界に入って8年目に祖父が亡くなり、初めて遺族を経験。遺体は都合5日間自宅に安置後、会館で葬儀をしたが、自宅安置中こそが、家族で故人を囲む得難い時間になった。馬場さんのその経験が契機となって、同社は設立された。 「6畳間が一つあれば、棺と花瓶を置き、お寺さんも呼べます」(馬場さん)
驚異の「ガレージ葬」
同県藤沢市在住の森正樹さん(53)は馬場さんに依頼し、今年3月6日に父(79)の葬儀を自宅ガレージで行った。 そのガレージに伺ってびっくりした。外車のクラシックカー2台とレクサスがぎゅうぎゅうに置かれ、壁という壁に付いた棚に、ミニカーや車のエンブレム等がぎっしり。主の趣味が詰まった空間だ。 「一番お気に入りの居場所から父を送り出してあげたかったんです。最初、馬場さんはあぜんとされましたが、工夫してくださった」と森さん。 レクサスを外に出しスペースを作って棺を入れ、ろうそくやバラの花を配置。馬場さんが見つけてきてくれた車高の低い霊柩車がギリギリ入った。身内9人。ロシア正教会の神父さんと聖歌隊3人に来てもらい、祈祷と聖歌30分の葬式となったという。 父が大腸がんで臥してから森さんが自宅で介護し、口伝えの遺言をメモした。 〈(1)病状をトップシークレットに(2)家族葬に(3)葬式に名前を出すな(4)喪服NG(5)食事は豪華に(6)香典を受け付けるな(7)死去後6~9カ月公表するな(8)延命治療はしない(9)最期は自宅で(10)ガレージで葬儀し、霊柩車で出て行く〉 ほぼすべてかなえ、そしてガレージ葬だったのだ。「100%以上の満足です。私のときも『馬場さんに頼んで絶対に自宅で』と正樹らに伝えました」と、母・八重子さん(78)が言った。