「クラシックカーの隣でガレージ葬」「15万円で済む“小さなお葬式”も」 コロナ後の葬式、最新事情をレポート!
コンビニを居抜きで再利用する物件も
場所に目を向けると、少人数の葬儀の需要に呼応して増加しているのが、小規模な葬儀場。中でも、近頃目立つのは、ロードサイドのコンビニやファミレスを居抜きで再利用する物件だ。 アルファクラブ武蔵野 (埼玉県さいたま市)では、21年12月からこうした物件で、「1日1件」の家族葬に特化した葬儀場をオープンしていっている。現在19施設ある「さがみ典礼の家族葬(旧名・ソライエ)」のうち、8施設が改装物件だ。 そのうちの一軒、同県行田市の施設へ行った。館内は白と木目が基調。洋風の燭台を置いた白い祭壇は実にシンプルだが、花を入れたら映えるだろうなと思った。式場は50人まで着席でき、真横に控え室。遺族が宿泊できる和室も遺体安置室もある。葬式費用は40万円~と案内された。日本消費者協会の2022年調査では葬儀全体にかかる費用の平均が161万9000円だから、4分の1以下だ。 ここはレストランの居抜き物件だったが、「適量の駐車場付きなので使い勝手がよく、霊柩車の出入りもしやすい上に、もとからバリアフリー設計なので、お年寄りのご利用が多い葬儀会館にフィットするんです」と、案内スタッフが説明してくれた。こうした居抜き物件は、工期が短縮されるのも利点だという。
トラックでどこでも葬儀
まもなく大きな話題を呼びそうなのが「移動葬儀車」。5.5トンのトラックの荷台部分がスライドして広がり、16畳の葬儀会館として利用できるものだ。「いつでも、どこでも、あなたの村へ」がキャッチフレーズ。 階段を5段上がってトラックの中に入ると、祭壇が前方に設えられ、僧侶の席と参列者用20席がずらり。トイレや宿泊できる控室付きのサポートカーとセットだ。 岡山県笠岡市の吉相グループの葬儀社、絆が開発し、21年に誕生した。山間部の小集落で暮らしたお年寄りが、集落から離れた町の病院で亡くなり、家族葬が町の会館で営まれるようになったことが、開発の背景にある。吉相グループ会長の藤原清隆さん(74)が言う。 「家族より親しかった50年来の隣人の死を、葬式が終わってから知るケースや、訃報は届いても町の会館へ行く足がないケースが増え、心が痛むんです。この車が集落へ出向き、葬儀を行えば、近所の親しかった方々も参列できます」 利用料金は55万円から。 葬儀時の移動葬儀車の駐車スペースとして、すでに行政関係の土地100カ所、個人の土地50カ所の使用契約を完了しているという。