「クラシックカーの隣でガレージ葬」「15万円で済む“小さなお葬式”も」 コロナ後の葬式、最新事情をレポート!
「リアルにお顔を見てお別れ」の価値
この葬儀を施行した公益社(本社=東京・大阪)を運営する燦ホールディングス(株)マーケティング企画部の松尾誠介さんは、「お別れ会」に近い特殊な例だとしながらも、「大田さんがなさったお式に『コロナ後』らしい点が含まれています。しっかりと『リアルにお顔を見てお別れ』をされたことです」とも話す。 「リアルにお顔を見てお別れ」は、コロナ感染死の人と対面できない時期があった反動で、今、その価値が見直されているそうだ。 一方、大田さんが行った葬儀スタイルを「こだわりの一点追求型」と、葬儀現場一筋20年の堀井久利さん(48)=大阪市=は評す。 パッケージ化された葬儀をそのまま行わず「こだわりの一点」を加える。大田さんの場合は、故人の“人となり”を伝えるスピーチだったわけだが、遺族によってまちまちだ。業者はそれを見越して提案する。
森のような空間を演出
「お花だけはこだわりたい」と強く思う遺族が増加傾向にある。主に女性だ。白木祭壇から花祭壇への移行が進んだのは周知のとおりだが、そのパイオニアが東京都品川区のリベント。「葬式の花もウエディングのように美しく」と考え、2002年の創業時から個性的な葬儀空間を作ってきた。ブランド名「花葬儀」は商標登録されている。 「弊社には空間デザイナーが6人いて、ご遺族から故人の人生を数時間かけて聞き取りするところから始めます。その場で空間デザインをスケッチ。社内に持ち帰り、葬儀プランナーらと演出面でのアイデアを出し合ってからトータルの企画を提案します」 と、代表の三上力央さん(50)。 日本最大の花卉(かき)市場、大田市場まで車で10分という地の利を生かし、新鮮かつ稀少な花を仕入れられるのも強みだ。あれこれ書くより、写真を見てもらう方が早い。一般的な花祭壇等との違いが分かるだろう。「六義園を散歩するのが好き」だった故人にその景色を、「小鳥のさえずり」を愛した故人に森のような空間を作り上げたという。5人での見送りに、500万円以上の花代を惜しまなかった遺族もいたらしい。