優しさあふれるホンダの乗りもの「リトルホンダPC50」で迎えるファミリーバイクの夜明け
誰でも乗れて安心安全な空冷4ストロークモペットが誕生
1969年はホンダから「CB750フォア」が登場した年ですが、一方では可愛らしいファミリーバイク「リトルホンダPC50」も発売していました。モペットと呼ばれるペダル付きの小型バイクで、スクーターや「スーパーカブ」よりも気軽な乗りものです。 【画像】ホンダ「リトルホンダPC50」(1969年型)の詳細を画像で見る(11枚)
ホンダのモペットシリーズには、先に発売された後輪にエンジンを内蔵した「リトルホンダP25」(1966年)がありますが、さらにオシャレに、乗りやすくモデルチェンジしたのが「リトルホンダPC50」です。 欧州で発売されたベルギーホンダ製「スーパーカブ」版のモペット「C310」がベースになっており、エンジンが車体中央部に搭載され、そのエンジンにペダルが取り付けられています。 始動方法は、ハンドル左にあるデコンプ(圧縮抜き)レバーを押して、ペダルを2~3回漕いで助走し、レバーを離すとエンジンが始動して右手のアクセルグリップを回せば走行できました。ワン・ツー・スリーで走り出せる簡単な機構です。 「リトルホンダPC50」には、モペッドでは珍しい4ストロークのOHVエンジンが使用されています。4ストロークエンジンは2ストロークに比べて圧縮が高く、ペダルを踏むのに力が必要ですが、圧縮を抜くためのデコンプレバーのおかげでスタート時のペダルは軽い踏力で回せました。またニュートラルにすれば自転車と同じようにペダル走行も可能でした。
特別な遠心クラッチを使った2段の減速機構となっていますが、走行時にギアチェンジは不要で、簡単に走行できることを重視した作りになっていました。 車体中央にレイアウトさたエンジン、フロントのボトムリンクサスペンションやリアのスイングアーム式サスペンション、さらに大径のタイヤサイズを装備しています。 鋼板製の軽く丈夫なフレームは乗り降りしやすい低床形状で、レッグシールドは雨や悪路で足の汚れを防いでくれます。何よりも外観はおしゃれで、細かいディテールにも小粋な要素が盛り込まれています。 販売ターゲットはバイクに乗った経験のない女性達で「リトルホンダPC50」はそこに訴求するために工夫をこらして開発されています。