【専門家の目｜太田宏介】ディフェンス目線で三笘薫のプレーの凄さを説明

ブライトンで活躍する三笘薫【写真：ロイター】

　イングランド1部ブライトンの日本代表MF三笘薫は、現地時間11月9日に行われたプレミアリーグ第11節のマンチェスター・シティ戦（2-1）で同点弾につながる好プレーを披露した。トラップからクロスに至るまでに詰まった技術に、元日本代表DF太田宏介氏も感嘆している。（取材・文＝FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也） 【実際の映像】三笘薫の変態トラップからゴールまでの12秒間シーン 　　　◇　　　◇　　　◇ 　プレミア屈指のサイドバック（SB）イングランド代表DFカイル・ウォーカーとの勝負に挑んだ三笘。4連覇中のシティ相手にブライトンも持ち味を披露する。1点ビハインドで迎えた後半33分、三笘はロングフィードを左サイドで受け足元に収めると、そのまま右足アウトサイドでクロス。これは相手に弾かれるも、再度回収した三笘が中へ折り返したボールから、FWジョアン・ペドロの同点弾につながった。 　太田氏はまず「特にブライトンはああいった三笘選手のアクションを見逃さないですよね。ディフェンスから1本のパスで打開できるフィードがあります」と、チームとしての強さに注目。そのうえで「スピードを落とさずに右アウトでのトラップ。足元に完全にピタリではなかったですが、何よりあのトップスピードの中でしっかりアウトサイドの面でボールの勢いを吸収しています。走っている歩幅の合わせ方もうまい」と三笘の技術を絶賛した。 「スピードを落とさず、次の選択ができるトラップですよね。非常にスマートなシーンでした。そこからゴールが生まれているわけですから。あれをただ足元で止めて、そこから『さあ1対1』となると、シティを崩せなかったと思います。スピードを落とさない最短のプレーというところが凄かったですね」 　またアウトサイドでのクロスは「やはり読みにくいです」と、ディフェンス目線での苦労も語る。「三笘選手だったらそういうモーションから蹴れるというのは理解していますが、あれ以上寄せると彼は切り返すこともできるので……。そこで足出してしまえばPKになってしまいます。正直サイドバック（SB）からしたら何もできないですよ」と守備陣を翻弄するキックも称えていた。 ［プロフィール］ 太田宏介（おおた・こうすけ）／1987年7月23日生まれ。東京都出身。FC町田―麻布大学附属渕野辺高―横浜FC―清水エスパルス―FC東京―フィテッセ（オランダ）―FC東京―名古屋―パース・グローリー（オーストラリア）―町田。Jリーグ通算348試合11得点、日本代表通算7試合0得点。左足から繰り出す高精度のキックで、攻撃的サイドバックとして活躍した。明るいキャラクターと豊富な経験を生かし、引退後は出身地のJクラブ町田のアンバサダーに就任。全国各地で無償のサッカー教室を開校するなど、現在は事業を通しサッカー界への“恩返し”を行っている。