中国、映画興行収入が前年比2割減 景気低迷、節約志向が影響か
中国国内の2024年の映画興行収入は425億元(約9100億円)で前年比23%減となった。中国メディアが伝えた。新型コロナウイルス流行による打撃からの回復が期待されていたが、中国経済の減速を印象づける結果となった。 国産映画が興行収入の8割近くを占め、観客動員数は延べ10億1000万人と前年比22%減だった。中国メディアは興行収入が振るわなかった理由について、市場を盛り上げる大ヒット作に恵まれなかったことや、景気低迷で消費者に節約志向が広がり、映画館から足が遠のいたことが要因と分析。SNS(ネット交流サービス)や動画配信サービスなど映像コンテンツの多様化も逆風になったとの指摘もあった。 ある民間調査によると、国内の映画観客は24歳以下の若年層が19年は38%を占めたが、24年は21%まで急減。中国でも若者たちの間ではスマートフォンによる動画視聴が定着しており、関係者は「映画離れ」への危機感を募らせている。 中国は北米に次ぐ世界第2位の映画市場。19年の興行収入は642億元(約1兆3800億円)と過去最高を記録した。その後にコロナ禍の影響で減少したが、23年は549億元(約1兆1800億円)にまで回復していた。【北京・河津啓介】