よねを演じる土居志央梨「弁護士バッジを着けてもらった時は、泣きそうになるぐらいうれしくて」
――男装への反響とご自身の感想も教えてください! 「最初の衣装合わせの時はまだ髪を切っていなくて、カツラで合わせたんです。そのカツラがあまりにも似合っていなくて(笑)。『大丈夫かな。これで1年間やっていけるのかな…?』と心配になりましたが、実際に髪を切ってからは、しっくり来ましたし、今はスーツ姿の自分の方が見慣れている感じです。周囲からも、『格好いい』、『似合ってる』と言ってもらえるので、自信になっていますね」 ――ちなみに、どんなカツラだったんでしょうか。 「前髪が全部下りているカツラで、それを無理やり前髪を上げてセットしてるふうに、ピンで止めていたんですけど、それがほんとコントみたいになっちゃって、かなり不安になりましたね(笑)」 ――髪を切った時の感想を教えてください。 「ずっと切りたかったんです。ショートヘアの役が来た時のために髪を伸ばしていたので。だから、(やっと切る事ができて)ありがとうございますという気持ちでした」 ――よねを演じる時は普段の声から2段階ぐらい下げている印象ですが、どのように声を作っていますか? 「意思の宿った力強い声がよねに似合うなと思っていたので、家で1人でしゃべったりしながら探りました。新潟編の時とか、撮影が空いた期間があって。その後に久しぶりに撮影をするってなった時は、チューニングがよく分かんなくなっちゃって、低過ぎて悪魔みたいな声になっちゃったりとかして(笑)。監督や沙莉ちゃんに相談しながらやっています」 ――よねは寅子に駄目出しをするところがたくさんありますが、「脚本の吉田さんの気持ちをよねが代弁しているのでは」という意見も多いですよね。よねに託した吉田さんの思いを、どういうところに感じましたか? 「よねが女子部のみんなと違うところは、恵まれない生い立ちがあることで。つらい過去はそれぞれにあるんですけど、恵まれてない生い立ち、何も持ってない、持たざる者であるっていうのは、明らかに違うところで、そういう役割を担っていると思っています。持たざる者の逆襲…じゃないですけど、懸命に時代をはい上がっていく様子を常に持っているし、トラちゃんに対してきついことをたくさん言ってるんですけど、それは愛情表現だと思っています。学生時代から、よねがずっと『うっとうしい!』と言って、それに構わずにトラちゃんが『よねさん!』と寄ってくる様子が、あの2人の仲良しの証拠だと思って演じていました。戦後、再会してからも基本的なところは変わっていないと思っています」 ――寅子に対する「うるさい、黙れ!」というセリフは何回も出てきますが、どう演じ分けていましたか。 「“うるさい”、“うっとうしい”というセリフは読み解いていくと、うれしい時や照れている時、図星を指摘された時に言っていると思うんです。その時々の動揺している気持ちを考えて演じていました」 ――「虎に翼」は、いろいろな立場の女性を象徴するような人たちが出てきますが、よねはどんな立場だと感じていますか。 「よねは自分の生い立ちもあって、弱い者の味方で、恵まれない立場にいる人を救いたいということを一貫している人なので、そこが絶対にぶれないように気を付けていました。戦災孤児の保護にもつながると思うんですけど、とにかく弱い立場の人の絶対的な味方であるところをぶれないように意識しています。この時代は女性が弱い立場にいるので、結果としては女性の味方にはなっているんですけど、『恵まれない立場にある人を救いたい』という気持ちを意識しています。女性の社会進出というテーマと少しずれちゃうかもしれないんですが、意識はそういうところに置いています」