パーティー券での裏金作りを6年前に指摘!特捜検事と国会議員の両方を経験した弁護士が語る「政治のカネにもっと切り込む」方法とは
政治家の不正を暴く検事と、調べられる側の国会議員の両方を経験した人物がいます。東京地検で特捜部副部長や公安部長などを歴任し、2014年から17年にかけて衆議院議員も務めた若狭勝弁護士です。 自民党にも一時所属していた若狭弁護士は、政治の暗部も間近に見てきました。いま自民党を揺るがしているパーティー券収入の裏金化問題についても、6年前の著書『若狭は見た! 議事堂内の「清濁政治」』で明らかにしていたことが話題になっています。 その若狭弁護士が、「法律のこの条文を使えば、政治のカネにはもっと切り込める!」と訴えていることがあります。実際、特捜検事時代に切り込もうと検討していたとのこと。先日、日本記者クラブで開かれた会見で、当時の知られざる内情と合わせて語った内容をまとめて紹介します。
政策活動費の解明には、この条文を使え!
政治資金の中でも特に「ブラックボックス」になっているものの一つと言われているのが「政策活動費」です。 政策活動費は政党から政治家に支払われるカネで、どんなに多額であっても、政治家側の団体の収支報告書には収入として記載されず、使い道が全く見えなくなっているものです。 このため、政治資金規正法の改正をめぐり、この政策活動費の使途をどこまでどのように公開するかで、政党間の綱引きが続いています。ただ、いま出ている改正案ではまだ十分に透明性を確保できたとはいえず、ブラックボックスが解消されたとは言えない状態です。 そこで若狭弁護士が提案するのが、「政治資金規正法19条の3」を使えということです。 条文の内容は、「資金管理団体の届出をした公職の候補者は、その者が公職の候補者である間に政党から受けた政治活動に関する寄附に係る金銭等の全部又は一部に相当する金銭等を当該資金管理団体に取り扱わせるため当該資金管理団体に寄附するときは、文書で、その旨を当該資金管理団体の会計責任者に通知しなければならない」というもの。 この条文はあまり知られていませんが、若狭弁護士によれば、「政党から受けた政治活動に関する寄附」というのが政策活動費のことで、それについて書かれた規定だということで、「これを適用すれば、今までブラックボックスでわからなかったのが、相当明らかになる代物なんです」といいます。 政策活動費を政治家の財布である「資金管理団体」に寄付させれば、収支報告書を毎年出す必要が出てくるため、使途が明確になり、透明化が図れるはずだと指摘しています。 「岸田さんがこの19条の3の規定に基づいて、政策活動費は資金管理団体に入れることにしますと一言、言いさえすればいいんです」(若狭弁護士) この規定があることを知っている政治家もいるはずなのに実現していないのは、「政策活動費という利権を失うので、口に出して言わない政治家が多いのが実情」だと語っていました。