投資信託の「商品比較」でやってはいけないこと【CFPが解説】
お手軽に分散投資ができる「バランス型」投資信託とは
分散投資は、株式で運用する投資信託や債券で運用する投資信託等を、組み合わせて購入しなければなりません。 しかし、いくつもの投資信託を一気に購入することを面倒に感じる方もいることでしょう。 そんな人ほど、こんな風に思うかもしれません。 「運用会社の方で、株式とか債券とかに分散投資しておいてくれよ。そうすれば、お手軽に分散投資ができるじゃないか」 はい、その通りです。ちゃんと、各運用会社の方で、分散投資してある投資信託が用意されています。それが「バランス型」と呼ばれる投資信託です。 「国内株式だけ」、「外国債券だけ」といった単一のカテゴリーのみで運用している投資信託を、自分で組み合わせて購入することは、現実的に初心者の方にとってかなりハードルが高いともいえます。みなさんが初心者を自認するのであれば、まずはバランス型の投資信託を検討してみてはいかがでしょうか。 とはいえ、バランス型の投資信託にもさまざまな種類のものがあります。自分の考えに合ったバランス型の投資信託を見つけることが大切です。 (1)スタティックアロケーション型(バランス型) 一般的に「バランス型」と表示されている場合は、このスタティックアロケーション型に相当するケースが多いです。 スタティックという言葉には「静止した」という意味があり、株式や債券等の資産配分を一定に保って運用するバランス型投資信託のことを指します。 株式に多く投資しているものもあれば、株式を少なめにした資産配分のものもあります。各種資料で確認することができますが、商品名に株式比率が示されていたり、日本語名でイメージがつかみやすいように工夫されているケースもあります(例:成長型→株式多め、安定型→株式少なめ)。 (2)ターゲットイヤー型 時間の経過とともに、株式のようなリスクの高い資産の割合を少しずつ減少させ、結果としてよりリスクの低い運用に変遷していくバランス型投資信託のことです。商品名に西暦を記載していることが多く、その年に向けてリスクの高い資産の割合を減らしていきます。 一般的に、投資の初期段階はリスク許容度が高いと考えられています。たとえ大きく値下がりしても、値上がりを待つ余裕があるからです。しかし、投資の終盤で大きく値下がりした場合は、その値下がりを取り返すだけの時間的余裕がないので、リスク許容度は低くなっていると考えられます。 このような時間の経過とリスク許容度の変化に着目して作られたバランス型投資信託を、ターゲットイヤー型と呼んでいます。 (3)リスク管理型(資産配分調整型) 市場環境等を勘案して資産配分を変動させるバランス型投資信託です。ときには株式のようにリスクの高い資産を多めにしたり、少なめにしたりといった調整が可能です。 運用会社の方で資産配分を臨機応変に変動してくれる反面、それだけ運用で考えることが多くなるため、やや信託報酬率が高くなる傾向があります。