【無意識のうちにやっている!?】セクハラって、ぶっちゃけどこからアウトなの?
● 性別を問わず、下心が窺い知れる言動はアウト 若林杏樹(以下、若林):男性から女性へのセクハラやそれに近しい言動が問題になることはよくありますが、意外と年上の女性から男性に対するセクハラもありますよね。 知人の男性が若い頃に、10歳ほど年上の上司に当たる女性から「食事に行こう」「ネクタイ買ってあげるよ」などと誘われていたそうなんです。当時はいいのか悪いのかわからないまま、「上司から誘われているから断ってはいけないのかな」と思っていたそうで。 「今考えると嫌だったけれど、当時は判断がつかなかった」と言っていました。女性から男性へのセクハラに関して、会社の人事研修などで話がされているかはわかりませんが、その話を聞いて、女性であっても気をつけるべき言動はあるなと思いました。 ――男性であっても女性であっても、相手を「狙っている感」が出るとアウトになりそうですね……。性別に関わらず、職場において下心を持っていてはダメということですか? 梅澤:下心自体は持っていてもいいんです。内心の自由は日本国憲法でも明確に謳われていますから。ただ、その下心を外部に発露させて、内心が窺い知れるような状況を作ってしまうとたちまちアウトになってしまいます。 セクシュアルハラスメントは単に「性的な言動」と定義されています。ですから、若林さんがおっしゃるように、女性から男性に対する言動であってもセクハラに含まれます。従来は、女性から男性へのセクハラは、あまり認識されていませんでしたし、男性も「女性に言い寄られるのは悪いことではない」という価値観を持っている人が多かった。 でも、今の20代くらいの方々は、そんな価値観ではありません。自分の中に不必要に立ち入られることを嫌う人も非常に多いです。そのため、職場で上司のような立場にある女性から言い寄られたときに、「おかしいのではないか」と強く感じる人もいるでしょう。だから、女性から男性へのセクシュアルハラスメントも、現代は割と問題になりやすいように思います。 若林:男性から女性へのセクハラはわかりやすい事例が本当にたくさんあります。でも、女性から男性の場合は、女性自身も「そんなつもりじゃないのに!」「優しくしてあげただけなのに!」と思っている節があるので、男女逆のセクハラはなかなか難しいなと思いました。 ● セクハラには、「やめてください」と明確な意思表示を ――セクハラされないように、気をつけておくべきことはあるのでしょうか? 梅澤:セクハラは100%加害者が悪いものなので、被害者側が何か気をつけるべきことはないと思っています。裁判官も「セクハラは性的な言動であって、職場で性的な言動なんてする必要性がないから、しないようにすればできるはずだ」と言っていたくらいですから。 あえて言うなら、セクハラをされたと感じたら「やめてください」と明示的な意思表明をすることです。「気持ち悪いからやめてください」というのは角が立つので、「自分はそういったことを言われると萎縮してしまうし、働きづらくなる。お互いにとってよくないので、やめていただけますか」などと伝えて、嫌がっていることを相手に認識してもらう。それは一つの防衛手段になると思います。相手が賢明であれば、そう言われたらやめるはずです。 わび:セクハラにしてもパワハラにしても、相手の気持ちを考えるのが大事ですよね。また、どういった言動がセクハラやパワハラに該当するのかをしっかり学んでおく必要がある。『それ、パワハラですよ?』は法的な根拠がきちんと入っていて、かつすごく読みやすいので、こういった本を読んで自分を守る術にしてもらうのも一つの手段かなと思います。 若林:ぜひこの本を、人事からセミナーで配ってほしいですね。みんなが共通認識としてハラスメントの知識を持っておくことが大事だと思いました。
ダイヤモンド社書籍オンライン編集部