「もうダメだ=限界」ではない…両脚骨折でも160キロを完走した元海兵隊員が教える最強のメンタルを得る方法
■人生は試練の連続だから それ以来、「俺は何者なのか」「俺に何ができるのか」を思い出す必要がある時、いつも「クッキージャー」の戦術を使っている。 誰もが心の中にクッキージャーを持っている。なぜって、人生は試練の連続だからだ。たとえ君が今人生に打ちのめされていたとしても、困難を乗り越えて勝利を味わった経験を、1つ2つは思い出せるだろう? 大勝利でなくても、ちょっとした成功でいいんだ。 一気に勝利をつかみたい、と君は思うかもしれない。でも俺は読み書きをやり直していた時(高校生の時)、1つの段落の単語を全部理解できただけでうれしかったよ。小3レベルを高3レベルに上げるのは大変だったけれど、小さな勝利に励まされたからこそ、あきらめずに学び続け、自分の可能性を追求し続けることができたんだ。 3カ月で48キロ減量するのも、最初の1週間で2キロ落とさないことには始まらない。その「2キロ」はささいな成功で、すごいと思えないかもしれない。でもあの頃の俺にとってそれは、自分が減量「できる」ってこと、そしてこの目標がどんなにあり得なくても「不可能じゃない」ってことの証しになった。 ■小さな火花がやがて森を焼き尽くす炎になる ロケットのエンジンは、小さな火花を飛ばして点火するだろう? これと同じで、人生の大きな目標に「火」をつけるためには、小さな火花が、小さな勝利が必要なんだ。 君の小さな成功は、火をおこすための燃え種(くさ)になる。たき火をする時は、いきなり薪に火をつけても燃えない。でも、ひとつかみの藁(わら)や枯れ草を集めて火をつけ、それに小枝や大枝を足していけば、薪を燃やせるだけの大きな火ができる。小さな火花が小さな火になり、やがて森全体を焼き尽くすほどの「熱量」となる。 大きな成功がまだなくても大丈夫。小さな成功を君のクッキーにして、じっくり味わおう。俺は、鏡に向き合う時は自分を厳しく追い込んでいるが、小さい勝利をあげるたびに自分を褒めているよ。それは必要なことなんだ。 なのに、成功した自分を褒めない人がとても多い。その瞬間は喜んでも、あとで振り返って、何度も勝利をかみしめているだろうか? そんなのはナルシシストだ、って思うかもしれない。でもそれは過去の栄光に浸ることとは違う。「すごかった自分」を自画自賛して、まわりをうんざりさせるってことじゃないよ。そんな自慢は誰も聞きたくない。 俺が言っているのは、「過去の成功を起爆剤にして、新しい大きな成功を追い求める」ってことなんだ。ピンチになったら、疲労と鬱、苦痛、惨めさを乗り越えるための励みが必要になる。小さな火をいくつかおこして、燃えさかる炎に変えよう。 ---------- デイビッド・ゴギンズ 退役海軍特殊部隊員(ネイビーシール) 米軍でシール訓練、陸軍レンジャースクール、空軍戦術航空管制官訓練を完了した、たった一人の人物である。これまでに60以上のウルトラマラソン、トライアスロン、ウルトラトライアスロンを完走し、何度もコース記録を塗り替え、トップ5の常連となっている。17時間で4,030回の懸垂を行い、ギネス世界記録を更新した。講演者としても引っ張りだこであり、全米の大企業の社員やプロスポーツチームのメンバー、数十万人の学生に、自らの人生の物語を語っている。 ----------
退役海軍特殊部隊員(ネイビーシール) デイビッド・ゴギンズ