「年金を増やしたい」と高齢の親が不動産投資の勧誘に乗り気。本当に大丈夫でしょうか?
高齢の親が不動産投資の勧誘を受けるケースは少なくありません。乗り気になっている親の姿を見て不安を感じている人もいるでしょう。不動産投資は、一定のメリットがある投資手法です。ただし、リスクがないわけではありません。また、高齢者を狙った詐欺も横行しています。ここでは、不動産投資の安全性と老後資金との向き合い方を解説します。
高齢者は投資の必要性を実感しやすい
高齢の親が老後資金を使って不動産投資に挑戦しようとしているケースでは、心配になる人が多いでしょう。不慣れな投資になぜ挑戦しようとしているのでしょうか。一因と考えられるのが、年齢を重ねると収入が減ってしまうことです。 国税庁が発表している「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、60歳以降は平均給与が減少に転じます。年齢階層別の平均給与は、55~59歳が546万円、60~64歳が441万円、65~69歳が342万円、70歳以上が298万円です。 給与と年金だけで生計を維持できない場合は、貯蓄を切り崩すことになります。現役時代と同じように稼げないうえ、手元のお金が減少するため、高齢者は投資の必要性を実感しやすいと考えられます。
不動産投資の安全性
不動産投資は、購入した物件を第三者に貸し出して賃料を得たり、購入した物件を投資金額以上で売却して利益を得たりする投資手法です。主なメリットとして、インカムゲインとキャピタルゲインを狙える、節税対策になる、FXや株式投資よりもリスクを管理しやすいなどがあげられます。 ただし、必ず利益を得られるわけではありません。入居者を集められない、不動産価格が下落したなどの理由で損失が出ることもあります。 また、高齢者をターゲットとする不動産投資関連のトラブルも起きています。不動産投資詐欺の代表的な手口としてあげられるのが、手付金支払い後に不動産会社と連絡が取れなくなる手付金詐欺、サクラを入居させて満室を装う入居状況詐欺、実在しない海外の物件を販売する海外不動産投資詐欺です。 また、過去に被害に遭った高齢者をターゲットとする原野商法の二次被害トラブルも起きています。原野商法は、値上がりの見込みがない土地を「外国人が購入する」などと持ちかけて不当に購入させる手口です。 不動産投資そのものに問題があるわけではありませんが、高齢者が勧誘を受けている場合は、損失が出る可能性やこれらのトラブルに十分な注意が必要といえるでしょう。