世界に伍する圧倒的ポテンシャル、開花目前。サンフレッチェ広島ユース・木吹翔太がイメージする一番高い景色 【NEXT TEENS FILE.】
加えて今季はキャプテンにも指名されている。「『やっても副キャプテンぐらいかな』とは思っていたので、自分がキャプテンをやるイメージはなかったですね。野田さんから言われた時はビックリしました」と笑ったものの、その役割を任されたことを意気に感じていないはずがない。
自分なりのキャプテン像も、なんとなく見えてきた。「(小谷)楓河が声を出してやってくれますし、僕はそんなにワーワー声を出してやれるタイプではないので、言うところは言いますけど、プレーで示したり、日頃のところから気を配って、自分が見本となってやることをまず意識して生活しています。やるからには自分も責任を持ってやりたいですし、成長できるチャンスだと思っているので、1年間しっかりキャプテンとしてチームを引っ張っていきたいですね」。この機会もまた成長する絶好のチャンスと捉え、チームメイトとポジティブに向き合っている。
中学時代を過ごしたJFAアカデミー福島時代から年代別代表も経験。その2メートル近い身長のインパクトも相まって、常に小さくない期待を寄せられてきたが、広島ユースに加入した1年目はプレミアリーグもわずか2試合・10分間の出場のみ。決して思うような時間を過ごせていたわけではない。
「広島に来て、1年生の頃から期待してもらっていたんですけど、なかなかAチームに絡めなかったですし、代表にも呼ばれなくなっていって……。それでも腐らずに、しっかりとやるべきことは続けられていたのかなとは思います」。もがき、悩み、その上で前を向いて戦い続ける姿勢は、周囲にもちゃんと伝わっていた。
そんな木吹に大きな転機が訪れたのは昨年6月のこと。それまでフォワードや攻撃的な中盤を務めることが多かったポジションが、センターバックへと変わったことだ。「沢田さん(沢田謙太郎アカデミーダイレクター)に『センターバックをやってみないか?』と言ってもらったんですけど、野田さんもそうですし、うまく行かない時にスタッフの皆さんが自分のことをちゃんと見てくれていたので、自分も『もっと頑張らないといけないな』『期待に応えないといけないな』と思ったんです」