「親の老後のお金」で困らないために、今からできること。親と話し合うことリストも
年老いていく親とお金の問題。不安は尽きないけれど、子として事前にできることはたくさんあります。ここでは、介護とお金の専門家の太田差惠子さんに、親の老後のマネープランの考え方や、事前に親と話し合い、知っておきたいことなどを聞きました。
介護はプロジェクト。予算ありきでマネジメントを
「親の老後資金や介護費用は『いくらかかるのか?』ではなく、『いくらかけるか?』と考えて。『親の介護は親のお金で』というのが大原則ですから、親のマネープランを考えるには、親の希望と合わせて、年金額や貯蓄額を把握することが第一歩となります」 そう語るのは、介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さん。「介護はひとつのプロジェクトだと考えてほしいのです。仕事であれば、目標が設定され、チームメンバーが選出され、予算にしたがってプロジェクトは進みますよね。介護も同じなんですよ」(太田さん、以下同) 目標=親の希望はできるだけかなえてあげたいというのが子ども心。けれど、それも予算ありき。無理なものは無理というスタンスも必要になるそう。 「介護というプロジェクトが仕事と違うのは、ゴールまでの期間が決まっていないことです。マネープランを立てるなら、女性は105歳、男性は100歳まで想定しておいた方がいい。そして、予算も労力も、最初に大風呂敷を広げないことが大切です」
お金の話ができる関係を日々の対話から築いていく
“介護”というプロジェクトを遂行するには、まず目標と予算の把握から、と太田さんは語ります。 「子どもは安心できる立派な施設をと考えても、親は最後まで自宅でと思っているかもしれません。また、親の希望をかなえるには経済的に無理ということもあります。介護において親も子も万々歳ということはありません。どう折り合いをつけるかですから、コミュニケーションが重要なんです」 そもそも、親のお金について正確に把握している人ばかりではない、とも。 「孫になにかと買ってくれるので余裕があるかと思っていたらずっと無理をしていたとか、じつはかなりのローンが残っていたなんてこともあります。下記のチェックリストについて、後期高齢者になる頃までには話をしておけるといいですね」 ただそのとき、強引に聞き出そうとするのはNG。 「介護のお金の話の先には、延命治療をどうしたいのかなど、デリケートな話も出てきます。対話を重ねながらコミュニケーションがとれる関係を築きたいですね」