BTSの曲に投影された世界観は? 大学教授が全アルバム収録曲分析=韓国
【ソウル聯合ニュース】韓国の人気グループ、BTS(防弾少年団)が曲を通じて具現した世界観の中核は夢、幸せ、愛、社会の弊害打破、慰め、感謝で、デビュー以来これまでメンバーはこうしたメッセージをファンや大衆と共有してきたという研究結果が発表された。 韓国エンターテインメント産業学会論文誌に掲載された誠信女子大文化産業芸術大学院のキム・ジョンソプ教授の論文によると、BTSの曲の歌詞に投影された世界観は▼10代は夢を抱き、20代は不安を克服し、自身の目標に向かって突き進もうという励まし▼世間一般の基準を超えた青春たちの成功・幸せの方程式探し▼体験した愛(恋・別れ・後悔と懐かしさ)に対する思いと心残り▼社会の重大な弊害に対する警鐘と打破に関する呼び掛け▼BTSがスターになるまでに経験した負担と過労の治癒、ファンと大衆に対する感謝と共に歩んでいくという約束――と大きく五つに分けられた。 キム氏は、大衆音楽分野での世界観は物語と叙事の構築の中核を成すとし「ミュージシャンが自身の芸術的アイデンティティーを確立し、ファンダム(ファン集団)と交流し、意思疎通する重要な方式として通用する。この世界観は歌謡では歌詞、ダンス、振り付けなど総体的パフォーマンスを通じて立体的に表現される」と説明した。 同氏はBTSが2013年にデビューしてから発表した23枚のアルバムの収録曲159曲(韓国144曲、日本15曲)を全て調査した。この過程で主体と客体、内部的自我と外部的自我、同伴者的他者と排他的他者などに分けて世界観を多角的に分析した。 具体的にみると、BTSはデビュー初期のアルバム「2 Cool 4 Skool」(13年発表)、「Skool Luv Affair」(14年発表)を通じて「各自が夢を持って不安を乗り越えよう」と訴えている。 その後「花様年華pt.1」「花様年華pt.2」(いずれも15年発表)、「WINGS」「YOUTH」(いずれも16年発表)では、「僕は今、果たして幸せなのか」と問いかけつつも「青春は美しく永遠だ」とたたえながら不安と危険を克服しようともがいた。 また、ヒット曲「DNA」(17年発表)、Butter(21年発表)には青春の恋煩いと恋の各段階で感じる情緒を投影させた。 アルバム「WINGS」と「LOVE YOURSELF 轉 'Tear'」(18年発表)、「Map Of The Soul:Persona」(19年発表)では成功をつかむまでの過程でたまった疲れとストレスを解消し、ファンと大衆に同伴者的未来を約束した。新型コロナウイルス禍では隔離された大衆にダンスと歌で自由と幸せを探そうと応援メッセージを送った。 キム氏は、BTSが「Spine Breaker」(14年発表)、「Ma City」(15年発表)、「The Planet」(23年発表)などの曲を通じて社会問題についても声をあげたとの見方を示した。 同氏は、未来を暗くする不公平と既得権益主義、二極化、親の経済力や職業、社会的地位で子どもの社会階層が決まるという「スプーン階層論」、地域対立、人種差別、やりがい搾取、環境破壊、世界平和などのイシューがBTSの曲に広く盛り込まれているとした上で「防弾少年団は人気グループという表面的な評価を超えて大衆と社会を激励し、慰め、応援し、さまざまな問題や弊害の改善を促す『善良な影響力』がある共感のメッセンジャーとして機能した」と評価した。 一方で、BTSらが所属する総合エンターテインメント企業、HYBE(ハイブ)と傘下のADOR(アドア)のミン・ヒジン元代表との対立などで浮き彫りになったHYBE内部の問題は現在も解決されていないが、これはHYBEにとってBTSの輝かしい成果を損ない、芸術性と受容者の価値を無視する企業というイメージダウンにつながる恐れがあると指摘した。
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