阪神ファンの“妨害”でホームランが…球史に残る「幻弾」 瓶の投げ込みで取り消しになった「逆転弾」もあった!
センター・新庄も見送った打球
6月2日の日本ハム対DeNAで、日本ハム・水谷瞬のプロ1号が“幻弾”となった。打球がフェンス最上部の境界となる青いラインより上なら本塁打というグラウンドルールがあるにもかかわらず、審判が確認できず、二塁打と判定されたもの。ビデオ判定導入後でも、このような事態が起き得ることを改めて痛感させられたが、過去にも微妙な判定やハプニングで消えた幻と消えた本塁打が少なからずあった。 記憶に残る栄光の背番号「3」【写真を見る】優勝、結婚、国民栄誉賞…秘蔵写真で振り返る「ミスター」の軌跡
現役時代に歴代5位の通算525本塁打を記録した清原和博も、疑惑の判定によって、本塁打を1本損している。 巨人時代の1999年9月10日の阪神戦、0対1の2回1死一塁、清原は舩木聖士から左中間に本塁打性の大飛球を放った。センター・新庄剛志もあきらめて見送った打球は、障害物に当たり、グラウンドに跳ね返ってきた。 もし本塁打なら逆転2ランだが、小林毅二三塁塁審は「インプレー」と判定し、清原は二塁でストップした。
長嶋監督も「ホームランじゃないの?」
だが直後、左翼席のファンが「ホームランだ!」「フェンスを越えた!」と口々に叫び、メガホンをグラウンドに投げつけるなどの大騒ぎに。 長嶋茂雄監督も「ホームランじゃないの?」と谷博球審に抗議したばかりでなく、ジャッジを下した小林塁審にも食い下がった。 「手ごたえは十分。でも、走っていたから、よく見えなかった」という清原も、新庄に近づいて、「入ったんちゃうか?」と尋ねたが、新庄は「(フェンスの)ラバーに当たったと思いましたけど」と否定的に答えた。 その後も長嶋監督は抗議を続け、「全員で協議してほしい」と要望。了承した審判団は4人で協議したが、それでも判定は覆らなかった。 皮肉にも試合は1対2で敗れ、「VTRでも完璧(本塁打)でしょう。お客さんがあれだけ騒いでいたんだから、あの1点は大きいよ」とミスターは悔やむことしきりだった。
起死回生の逆転3ランのはずが…
ファンの妨害行為が原因で本塁打が幻と消えたのが、巨人時代のラミレスである。 2008年5月7日の阪神戦、2対4の7回裏1死一、二塁、4番・ラミレスは、能見篤史の2球目をライナーで左翼席最前列目がけて打ち込んだ。起死回生の逆転3ランと思われたが、次の瞬間、黒いヘルメットをかぶり、黄色い法被を着た阪神ファンと思われる男性が身を乗り出し、右手を伸ばして打球を叩き落とした。その後、打球はフェンス最上部に当たり、グラウンドに戻って来た。 審判団は協議の末、「観客が打球の邪魔をしたことにより、二塁打で試合を再開する」とした。ラミレスは二塁上で「本塁打じゃないのか?」と言いたげに両手を広げ、原辰徳監督も4分間にわたって抗議したが、判定は覆らず、3対4の1死二、三塁で試合再開。真鍋勝己三塁塁審は「客の手に当たらなければ、フェンスを越えたかどうかの判断。越えていないと判断した。フェンスの前に乗り出していたので」と説明した。 この回、結局巨人は4対4の同点で攻撃を終え、8回に山口鉄也が葛城育郎に右前タイムリーを許し、4対5で敗れた。 試合後、VTRで確認したラミレスは「厳しい判定だ。僕もナインも人に当たらなかったら本塁打だと確信している」と残念がったが、「くよくよしてもしょうがない」と雪辱を誓い、翌日は8回に久保田智之から試合を決める逆転2ランを放っている。