悩むのはダメなこと? “優等生から転落した人”にカウンセラーが伝えた言葉
カウンセラーとして33年、スクールカウンセラーとして18年の経験があり、また長年モラルハラスメント問題に力を入れて取り組んできた谷本惠美さんは、「自分の心を守る方法について、なにも知らない無防備な状態でいると、どうしても傷ついたり、落ちこんだりしやすい時代に私たちは生きている」と言います。 【画像】「不安の度合い」の3つの分類 悩みを抱えがちな編集者Kが「もっとラクに生きられる方法を知りたい」と、谷本さんに話を聞きました。 ※本稿は、谷本惠美著『13歳からの自分の心を守る練習』(PHP研究所)から一部抜粋・編集したものです。
「心の技術」を学ぶとラクになる
【K】カウンセラーの谷本惠美さんに、ちょっとやっかいな「自分の心」についてうかがっていきます。谷本さん、どうぞよろしくお願いします。 【谷本】編集者のKさん、よろしくお願いします。今回お話をいただいた際に「13歳の人にもわかるように教えてほしい」と書いてありましたが......これは? 【K】中学生や高校生のときの私に、心理学や人間関係についての知識があったらな......という思いが、ずっとありまして。 【谷本】10代のときに、なにかあったんですか? 【K】もうずいぶん前のことになりますが、当時の私は、自分の実力以上の高校に補欠合格して、入学したとたん、落ちこぼれになってしまったんです。クラスメートに指をさされて、バカにされたこともあって......。 【谷本】それは、それは。 【K】しかも、その高校は、勉強だけでなくスポーツもできる優秀な子だらけ。中学校までは、勉強もスポーツもできる「優等生タイプ」だと自分では思っていたので、自信をすっかりなくしてしまい......。まわりの視線がこわくて、友達もほとんどできなかったんです。真っ暗な高校3年間でした。 【谷本】しんどかったですね。 【K】今でこそ笑い話にできていますが、当時は本当に......。今、編集者として、人の悩みや生き方をテーマにした本をつくっていて思うんです。もし高校生のときの私に、心についての知識があったら、あんなに苦しまなくてすんだかもしれないな......と。 【谷本】私は20年近くスクールカウンセラーをしていますが、たしかに、10代の人と話していると、心についての最低限の知識や「技術」を身につけることは必須だと感じています。今の時代、SNSなどがあって、傷つくことがより増えていますしね。 【K】技術......。人の心というと「生まれ持ったもので、どうしようもない」というイメージがあるんですが、だれでも身につけられる技術がある、ということですか? 【谷本】はい。もちろん、変えられない部分もありますが、知識として学べて、技術として身につけられることもたくさんあります。だから、私は「心は技術」だと思っているんです。