イングランド5連覇女王・チェルシーで浜野まいかが描く成長曲線「無意識のゾーンからプレーが出てくるように」
多国籍に通じる「MAIKA」の魅力とは?
――U-20ワールドカップでゴールデンボールを受賞した時に、他国の選手が浜野選手を祝福していたのが印象的でした。チェルシーでもXの公式アカウントでオフの素顔がよく取り上げられるなど、すっかりチームに溶け込んでいる様子が伝わってきますが、多国籍に通じる自分の魅力はどんなところだと思いますか? 浜野:U-20ワールドカップの時は、なんであんなに他の国の選手が祝福してくれるのか、自分でも理由はわからなかったですが、うれしかったです。中学生の時は本当にシャイでしたし、今も自分から周りを巻き込むようなタイプではないのですが、サッカーを楽しむことは昔から変わらず大切にしてきたので、その姿を見て共感してもらえる部分があるならうれしいです。 ――チェルシーでは、プライベートで仲が良い選手はいるんですか? 浜野:フォワードのカタリナ(・マカリオ/アメリカ代表)の家にしょっちゅう泊まりに行っています。あと、イングランド代表のニーアム(・チャールズ/イングランド代表)も仲が良くて、その3人でいつもご飯を食べています。 ――通訳なしで、英語でのコミュニケーションができているんですね。 浜野:昨年、スウェーデンでプレーしていた頃から、チェルシーがオーガナイズしてくれている英語のレッスンを毎日受けているので、難しさはありますが、チームメートの言っていることはわかるようになってきて、コミュニケーションは取れるようになってきました。
3大陸で得点王になったストライカーから学んだこと
――チェルシーのSNSで、オーストラリア代表のサム・カー選手に前髪を切ってもらうシーンが日本でちょっとした話題になりました。彼女は3大陸で得点王になった唯一の女子選手ですが、練習ではどんな学びがありますか? 浜野:サムがゴールを決める時って、例えば見ている方が「シュートだ!」と思うタイミングで打つんじゃなくて、「シュートだ!」と思った瞬間にはもう打っているんです。普通は「コースが空いている」と思って打つと思うんですが、「空いている」と思った瞬間には足を振っているから入るんだと思います。本能的に、思いついたプレーを全部パッパッパってやっているように見えます。でも、その前に考えて判断しているからこそできることだと思うんですけどね。 ――浜野選手はINAC神戸レオネッサ時代に「感覚的にプレーしている部分もある」という話をしていましたが、駆け引きや判断において、イングランドでどんな部分が変化しましたか? 浜野:考えることなしにサッカーはできないと思うし、本当に考えることが一番大切だと今は思っています。ただ、自分の場合、考えすぎると良いプレーができなくなることが多いです。一日一日のトレーニングを試合みたいに大切にしているのですが、練習でも試合でも考えすぎてしまって。だから今は、練習で考える時はとことん考えて、そのプレーを無意識のゾーンに入るまで詰め込んで、試合では無意識のゾーンからプレーが勝手に出てくるようにしています。 ――それもかなり大きな変化ですね。 浜野:中学校の時は、守備もただボールを追っていただけだし、本当に感覚だけでプレーしていたと思いますし、本当に何考えてサッカーしていたかわからないです(笑)。そう考えると、かなり変わったと思います。