宿泊税の可能性探る 市内事業者にアンケート 奄美市、世界遺産価値向上へ財源確保
世界自然遺産価値の向上などに必要な財源確保を検討する鹿児島県奄美市の「世界自然遺産に関する新たな財源創設検討委員会」(委員長・松田忠大鹿児島大教授)が、宿泊税導入の検討に関する事業者アンケートを実施している。旅館業法に基づく業務許可を得ている市内約200の宿泊施設が対象。アンケート結果は今後の検討委での議論の参考資料として活用する。回答期限は7月26日。 宿泊施設の利用者に課税する宿泊税は自治体が独自に設ける税(法定外税)の一種。東京都をはじめ大阪府、京都市、金沢市、長崎市などがすでに導入しており、導入予定や検討を進める自治体も年々増えている。 奄美市は①世界自然遺産の価値を高める②来訪者の満足度向上③奄美独自の文化の継承④地域コミュニティーの発展⑤人材育成―などのための新たな財源確保の検討のため2023年8月に財源創設検討委を設置。検討委はこれまで4回会議を開き、現在は宿泊税を中心に検討を進めている。 アンケートは、特別徴収義務者となる宿泊事業者の意見を把握する目的で実施。▽施設の規模(客数)▽宿泊料金▽宿泊税を導入した場合の影響▽税の望ましい使い道―などを聞く設問がある。 対象の宿泊施設に向けて今月5日にアンケート用紙を発送している。検討委事務局の世界自然遺産課は「宿泊税導入の可能性を探るためのアンケート。ぜひ協力を」と呼び掛けた。 検討委は今年10~11月に第5回会議を開催。アンケート結果の確認や、宿泊事業者らのヒアリングなどを行う。24年度中に報告書をまとめ、市長へ提出する予定。