人類進化史変わる?アフリカ以外最古約19万年前ホモ・サピエンス化石新発見
「Misliya-1」におけるアゴと歯の化石
イスラエルの現場から見つかったものは、発見された洞窟にちなんで「Misliya-1」という標本番号が与えられた。かなり保存状態の良い右の上アゴの骨にもとづく。 ― こちらのScienceDailyのサイトにMisliya-1の写真あり: ホモ・サピエンスであるという判定は、まずアゴの骨の形態で下すことができるそうだ。近縁の種であるホモ・ネアンデルタール(Homo neanderthal・ネアンデルタール人)と比較すると、両者の顔つきがかなり違う。大型でがっしりしたネアンデルタール人の顔は、(横から見ると)全体の構造がかなり前方へ突き出している。 ― ホモ・サピエンスとホモ・ネアンデルタールの顔の比較: こうした顔の構造の違いはアゴや頭の骨の違いにも現れる。頑丈そうなネアンデルタール人の頭骨は、我々のものと比べて、非常にたくましくみえる。 ― ホモ・サピエンスとホモ・ネアンデルタールの頭骨の比較: 「Misliya-1」の上アゴには、幸運なことに歯が全て残されている。全部で8本になる。ヒト科だけでなく哺乳類一般にいえることだが、歯の化石は種の判定を下すとき非常に役に立つ。 ホモ・サピエンスの歯だが、前歯と奥歯の大きさがほぼ同じくらいという特徴がある。そして全体のサイズは、成長したネアンデルタール人の個体の歯と比べると、比較的小型だ。歯根(歯茎におさまる細長い部分の歯)はやや短めでもある。 一方、ネアンデルタール人のアゴの中をのぞいてみると、奥歯と犬歯はかなり立派で大きく目立つ。前歯と奥歯が同じくらいのサイズであるホモ・サピエンスのものとは、こうした違いが一般に見られるそうだ。(念のため自分の口の中を鏡でも使ってチェックしてみてはいかがだろうか?) 今回の研究チームは、(当然)こうした大まかな特徴だけでなく、より細かな形態やサイズを統計学的手法などを用いて分析している。そして、このMisliya-1の標本は、「ホモ・サピエンスのものだ」という結論が導き出された。