脱炭素連合からの離脱相次ぐ 気候対策曲がり角 米金融大手
【ニューヨーク時事】ゴールドマン・サックスなど米金融大手が脱炭素社会実現に向けた連合体から相次いで離脱している。 共和党のトランプ次期政権の発足を控え、ESG(環境・社会・企業統治)投資に批判的な同党を刺激したくないとの思惑があるとされる。金融機関による気候変動対策を推進する取り組みは曲がり角を迎えそうだ。 この連合体は「ネットゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)」で、2021年に発足した。参加する金融機関は50年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロとする目標の実現へ投資や融資などを加速することで合意。米JPモルガン・チェースやみずほフィナンシャルグループなど約140の金融機関が加盟している。 ただ、環境規制を嫌い、石油増産を目指すトランプ氏の復権が決まって以降、ゴールドマンを含む米4社がNZBAからの退会を決断。2日にはモルガン・スタンレーの脱退も明らかとなり、5社に拡大した。 各社が離脱に傾いたのは、共和党知事を擁するテキサス州などが24年11月に米資産運用大手ブラックロックなどを相手取って起こした訴訟がきっかけとされる。投資戦略が石炭供給を抑え、エネルギー価格上昇につながるとして、反トラスト法(独占禁止法)に抵触すると主張している。 ゴールドマンなども環境問題は重視しつつ、同党による訴訟は回避したい考えとみられる。