「ダウン症」は事前に検査で調べられることをご存じですか? 受ける時期や費用の目安も医師が解説!
高齢出産が増えていることから、出生前診断を受ける妊婦さんの数が増えています。特に、ダウン症候群などの可能性を探る遺伝検査は、血液検査だけでおこなえることもあり、注目を集めています。一体、遺伝検査ではどのようなことを調べられるのか、「ミネルバクリニック」の仲田先生に解説していただきました。 【イラスト解説】「不妊症」になりやすい人の特徴・3つの原因
NIPT(出生前診断)とは?
編集部: まず、NIPTについて教えてください。 仲田先生: 「出生前検査」の1つで、母体の血液から胎児の染色体異常について調べる検査のことです。一般的には、主に「トリソミー」の可能性について調べます。 編集部: トリソミーとはなんでしょうか? 仲田先生: 染色体は細胞の核に存在し、様々な遺伝子を記録しています。染色体の数は生物によって異なりますが、人間では通常2本で1対となっており、合計で23対46本存在します。しかし、なかには3本で1対を構成している場合もあり、この状態をトリソミーと言います。 編集部: トリソミーになると、どうなるのですか? 仲田先生: 何番目の染色体にトリソミーが発生するかによって、出現する病気が異なります。例えば、13番目の染色体にトリソミーがあれば「パトー症候群」、18番なら「エドワーズ症候群」、21番は「ダウン症候群」です。 編集部: NIPTでは、これらの疾患の可能性を知ることができるのですね。 仲田先生: はい。基本的にはこの3つ疾患について調べますが、さらに多くの項目を調べることができるNIPTもあります。具体的には、NIPTをおこなう医療機関には「認証医療機関」と「非認証医療機関」があり、それぞれ検査項目の規定が異なります。
認証医療機関と非認証医療機関の違い、それぞれでわかること
編集部: 検査項目が違うというのは、どういうことですか? 仲田先生: 認証医療機関とは、一定の基準を満たしており、認証された医療機関と検査分析機関を指します。認証医療機関では、13トリソミー、18トリソミー、21トリソミーの可能性について調べることができます。また、検査前と検査後には遺伝カウンセリングがおこなわれ、妊婦さんの不安や悩みに寄り添う体制も整えられています。 編集部: 一方、非認証医療機関ではどのようなことがわかるのですか? 仲田先生: 非認証医療機関では、13トリソミー、18トリソミー、21トリソミーに加えて、様々な疾患の発症リスクを調べることができます。例えば当院では、微小欠失12種類による13疾患についても調べることができます。微小欠失とは、染色体の一部がなくなった状態でほんの少し短くなっていることを言い、微小欠失によって成長障害や重度精神発達の遅れ、特徴的顔貌、摂食障害、免疫低下、口蓋裂などの可能性を調べることができます。 編集部: そのほか、非認証医療機関でおこなうNIPTでは、どのようなことがわかりますか? 仲田先生: 検査項目は医療機関によって異なりますが、一例として当院では全染色体の部分欠失・部分重複や、大事な遺伝子の突然変異を調べることもできます。これにより自閉症、染色体に異常がある重度の知的障害、染色体や遺伝子に異常がある重度の発達障害などの可能性がわかります。そのほか、全染色体についてトリソミーを調べたり、性染色体検査により性別判定をおこなったり、性染色体の数の異常を調べたりすることもできます。 編集部: 非認証医療機関の方が、検査でわかることが多いのですね。認証機関と比べて、精度についてはいかがでしょうか? 仲田先生: 一般的に、非認証医療機関の方が検査制度は高いとされています。また、認証医療機関では遺伝カウンセリングがおこなわれますが、非認証医療機関でも遺伝カウンセリングをおこなっているところがあります。例えば当院では、万が一、検査結果が陽性と判定され、疾患を確定するために羊水検査を受ける場合には、羊水検査の費用は互助会で全額負担するほか、独自のネットワークで、各所の産婦人科と連携して妊婦さんをサポートする体制を構築しています。