四季折々の姿が美しい! アニメの聖地などでも有名な「白川郷」は海外観光客が殺到!? 昔ながらの「日本の原風景を保つ工夫」とは?
●白川郷はテーマパークではない! そのこだわりとは
合掌造りで有名な岐阜県の白川郷は1995年12月9日に世界遺産に登録されて以来、国内有数の観光地となっています。近年ではアニメの聖地巡礼で訪れる観光客も多いようですが、実際はどのようなところなのでしょうか。 【画像】四季折々の姿を見せる白川郷の魅力を写真で見る(8枚) 白川郷は岐阜県の飛騨地域の中でも特に山ひだが険しい地域です。付近に鉄道の駅は無いため、金沢・富山から1時間半ほど、あるいは名古屋から2時間ほどかけて高速バスで行くことになります。 険しい山々の合間を縫って流れる庄川の流域に形成された集落が白川郷です。
ここは日本有数の豪雪地帯であり雪質も重いため、雪の重さで家屋が潰れないように木の梁を山形に組み合わせる日本独自の建築様式が採用されました。この屋根が手のひらを合わせているように見えることから「合掌造り」と呼ばれるようになったとも言われます。 さらに冬には周辺との交流も遮断され、かつては秘境とも言われてきました。 そんな白川郷ですが、合掌造り集落の美しい景観が評価され、1976年には重要伝統的建造物群保存地区に選ばれました。そして1995年には富山県の五箇山と共にユネスコの世界文化遺産に登録されたのです。 元は秘境でしたが、世界遺産に登録されたことで知名度は増大。交通網の整備もあって国内外から多くの観光客が訪れるようになりました。 日本の世界遺産としてはかなり長い歴史を誇りますが、観光客を迎えるにあたってどのようなこだわりがあるのでしょうか。白川郷観光協会の担当者は次のように話します。 「観光地ではあるものの、今でも集落に住みながら生活が営まれているのが特徴です。生活と両立する以上テーマパークではないため、各所にゴミ箱は設置していません。 歴史的な合掌造りの家屋は現在110~120棟ありますが、これ以上増やすことはありません。また、集落内に住んでいる普通の家は増築も出来ません。建物の壁や屋根のトタンは黒系にする決まりもございます」 これは「売らない、貸さない、壊さない」と定められた三原則に基づくものです。生活を守るこの原則は厳しい自然環境の中で形成された人々の「結の心」、すなわち相互扶助の考え方によって成り立っています。 そのようなこだわりの甲斐あってか、観光客も多くいますがどのような傾向があるのでしょうか。前出の担当者は次のように話します。 「長期休みは国内からのお客様も増えますが、現在は八割から九割が海外からのお客様となります。季節ごとにどの国から訪れるかも傾向があり、春は欧米、冬は雪の降らない東南アジアの国から中国の旧正月に合わせて観光されるようです」 季節ごとに客層の違いがあるのは、実際に見られる景観が大きく異なることにも起因するものです。冬の雪はもちろんのこと、夏は青い山々に囲まれて冷涼で、爽やかな空間を体感できます。 季節ごとの観光について前出の担当者は次のように話します。 「春や夏に観光された方はもう一度冬の白川郷を見たいと言われるため、茅葺屋根に雪が積もった風景が見られる冬が大人気です。 また雪の少ないアジアから観光される方としては、雪に触って遊ぶのも魅力のようで田んぼの中に雪ダルマなどを作って楽しまれています。また白黒の風景が、水墨画のように見える点も好評を博しています」 ※ ※ ※ 昔ながらの日本の風景が保たれている白川郷を訪れて「タイムスリップしたかのよう」との感想を抱く観光客も国内外問わず少なくないようです。集落で営まれてきた「結の心」の生活に思いを馳せてみても良いのではないでしょうか。
Peacock Blue K.K.