男子レスリングはグレコに続きフリーでもリオ五輪出場枠ゼロ。惨敗理由は?
リオ五輪に向けての強化システムの違いを考察したのには理由がある。戦い終えた選手たちのコメントが、全体的にぼんやりしたものだったからだ。もちろん悔しさは伝わるし、五輪経験がある高谷は「内緒にしてください」と断ったが、あふれる涙を止められないほどだった。 しかしミスを具体的に説明するケースが少なく、「映像で見て知っていたけれど、実際にやってみないとわからなかった」と話すなど、情報を消化できていないことがうかがえた。何人もの選手が、そういったことを話すというのは、逆から考えれば、仕組みの面に解決策があることを示している。 もちろん、強化方針の揺らぎ以外にも不振の原因はいくつも考えられる。ルール改正とともに行われた階級システムの変更も大きい。日本がお家芸として誇ってきたのは40~50キロ台の軽量級だ。しかし40年以上存在した48キロ、52キロ、57キロの三つの階級は1997年に54キロと58キロの二つになり、2001年からは55キロと60キロ、昨年からはフリーが57キロ、グレコは59キロだけとなり、ひとつ上の階級は65キロと66キロになったのだ。 いくつもの出来事が複雑に絡みあって発生したトラブルを解決するのは、かんたんなことではない。しかし目的がひとつで同じものならば、日本の男子レスリングについても、まとまることができるはずだ。2012年の金メダルが、決して偶然の産物ではないことをリオ五輪で証明してほしい。 (文責・横森綾/フリーライター)