11兆円規模ETFのリバランス、エヌビディア買いアップル売り誘発へ
(ブルームバーグ): 世界で最も著名なテクノロジー株上場投資信託(ETF)の一つが大規模なリバランスを実施する見込みで、エヌビディアへのエクスポージャーを高めアップルは低めにする見通しだ。一挙に数百億ドルの株式売買を誘発することになる。
エヌビディアの株式時価総額が14日にアップルを上回って終了したことから、指数算出会社S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが定めた方法から土壇場で逸脱しない限り、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズは、運用資産710億ドル(約11兆2000億円)の「テクノロジー・セレクト・セクターSPDRファンド」(ティッカー、XLK)の構成を見直す予定だ。
人工知能(AI)向け半導体大手エヌビディアの株価が年初来で166%急騰したにもかかわらず、XLKは数カ月にわたり、エヌビディア株の保有をかなり少なめに維持してきた。S&P500情報技術指数でのウエートが22%なのに対し、同ETFでは組み入れ上位3番目で約6%となっている。分散投資ルールの下で課された保有制限の影響で、XLKは今年大幅なアンダーパフォームを余儀なくされている。
S&Pは理論上、例外を設ける権利を留保しているが、業界関係者によると、同ETFは6月末近くに四半期ごとのリバランスを実施する際、再調整される予定だという。
事情に詳しい市場参加者3人にS&Pが送った計算によれば、アップルとエヌビディアのETFにおけるポジションは逆転し、前者のウエートは4.5%に下がり、後者は20%を超える。
ステート・ストリートはエヌビディア株を110億ドル相当購入し、アップル株を120億ドル相当売却することになるとの試算もある。アップル株の予想売却額は過去3カ月の1日平均売買高に匹敵するため、ささいな額ではない。
ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズの株式戦略責任者、クリス・ハービー氏は「われわれの計算では、エヌビディアとアップルの間で逆転が起こるだろう」と述べ、「これにより、XLKはモメンタム・トレードや半導体株とより密接に連動する。追加の支援を必要としない銘柄をさらに多くの資金が追うことになる」と予想した。