惜別と希望 球団史上最も愛された助っ人ビシエドとの別れ、そして井上新監督"強竜再建"の秘策とは
誰からも愛された助っ人の別れ
それは心のどこかで薄々気づいていたような、同時に目を背けたくなるような、そんな瞬間が訪れた。 ダヤン・ビシエド退団。 来日9年。球団史上最高の助っ人がドラゴンズに別れを告げた。 ビシエド選手「これはビジネスですから仕方ないと思います。ただ今日までの9年間日本で生活できたのはドラゴンズに契約してもらったおかげ。感謝しかありません」 来日1年目の2016年。デビューは鮮烈だった。タイガースとの開幕戦から3試合連続放ったホームラン。その後、首位打者、最多安打、ベストナイン、そしてゴールデングラブ賞を獲得するなど、数々のタイトルを獲得。在籍期間にポストシーズンを経験したことはなかったものの、ビシエド選手の存在は誰よりも大きな光を放っていた。 打撃や守備、ビシエド選手の影響力は野球だけでは留まらず、彼がチームに与えた"人間力"は誰にも真似できない貴重なものとなっていった。 ブライト健太選手「お兄ちゃんじゃないですけど、自分の思っていることも話せるし、すごく良い方でした」 濱将乃介選手「タンケ(ビシエドのニックネーム)のことを嫌いな人はいないんじゃないですか」
さよなら、またいつか
しかしここ2年は出場機会が激減。特に今年は中田翔選手の加入もあってか、わずか15試合の出場にとどまった。今夏には"もしかしたら今年が最後かもしれない"と、苦しい心境を口にしていた。 そしてその日は唐突訪れた。10月6日、今季最終戦後に行われたセレモニー。ビシエド選手の登場に、この日一番の歓声がドームに響く。しかしこれがドラゴンズのユニホームを着ての"最後の姿"そして"別れ"となった。影のキャプテンと呼ばれ、ドラゴンズを支え続けた男が、来季の戦力構想に入ることは叶わなかったのだ。 日本を発つ日、早朝にも関わらずビシエド選手を見送りに中部国際空港へ訪れた選手がいた。選手会長の柳裕也投手だ。惜別のハグをし、笑顔で良き友人を見送った。 柳投手「ビシエドは特別な選手。チームからもファンからも愛された存在。今後も良い関係でいたいです」 チームメイトは家族みたいな存在だった、そして素晴らしい9年間をありがとうという言葉を残し、旅立ったビシエド選手。 "本当にありがとうございます。また会いましょう" 真っ白の歯を見せながら、愛嬌のある笑顔。ドラゴンズのユニホームを着てのビシエド選手はもう見られない。そしてたったひとつ、彼とやり残したことだけが無念でならない。それは… オレたちは、オレたちは、 ビシエドと優勝したかった! 来年は他チームのユニホームを着て、ドラゴンズの敵として対峙するかもしれない。それでもビシエドの元気な姿が見ることができれば、ドラゴンズファンは皆、笑顔になるはずだ。 さよなら、またいつか。 今度は指導者としてドラゴンズに帰ってきて欲しい。 今まで本当にありがとうビシエド! これからもがんばれビシエド! がんばれドラゴンズ! 燃えよドラゴンズ! 竹内 茂喜
CBCテレビ