人の縁と偶然に感謝 20年前の菅氏写真作品届く 被写体の新納さん、驚き笑顔
写真家・菅洋志氏(2013年死去)が04年に鹿児島県瀬戸内町・請島で撮影した人物が判明し、このほど本人に作品が届けられた。知名町在住の小学校教諭、新納美保さん(44)で、「こんなことってあるの」と人の縁と偶然が重なった今回の出来事に驚き、関係者に感謝している。 菅氏は主にアジアを中心としたドキュメンタリー写真、ドキュメント手法によるフードフォトで活躍。奄美をテーマとした写真集「奄美―シマに生きて」(07年)などの著書がある。 新納さんが写る作品は今年4月、奄美市で開催されたニッコールクラブ奄美群島支部15周年記念第6回写真展で特別展示されていた。たまたま来場した人が新納さんの知人で、新納さんに電話で確認、被写体の1人が新納さんと分かった。 新納さんによると、撮影場所は池地小学校の1年生教室。「教頭から写真家が来校するとの通知があったのは覚えている。写真からして、おそらく国語の授業。平仮名の練習をしているので5月ごろだと思う。写っているもう1人は同校数年ぶりの新入生。たぶん、私に何か質問されて考え込んでいる様子では」と記憶をたどった。 「(届いた写真を見て)池地小学校での楽しかった出来事が思い出された。カメラを意識していないところを撮ってもらい、本当によかった。丁寧な梱包(こんぽう)の仕方から送ってくださった人の気持ちも伝わった。大事にしたいと思う」と感謝した。 同支部によると、今回の写真展では08年に奄美大島で開かれた菅氏の個展終了後、「被写体の関係者に譲ってほしい」と託された作品のうち、残る4点を展示。被写体の人物が特定されたのはこの1点だけだったという。森美佐子会長(76)は「天国で菅さんも喜んでいると思う」とほっとした様子だった。