【解説】 “老老対決”の勝敗は!?バイデンVSトランプ 4年ぶりのテレビ討論会 異例のメモ持ち込み禁止、マイク制限 注目の戦いの行方
バイデン氏有利のルール?トランプ氏はどう対応?
異例の制限がかなりついた形だが、多くがトランプ氏に不利な条件になっているとみられる。アメリカメディアも「このルールはバイデンを助けることがほぼ確実」と報じている。 さらに司会のCNNキャスターもトランプ氏には厳しい立場を示してきているため、トランプ氏も「私は1人ではなく3人と討論する」と発言するなどアウェーであることを明確にしている。 ただ、ここ数カ月の間、トランプ氏の陣営は81歳のバイデン氏を、歩くことも不自由で、発言もミス続きの「認知機能が衰えた老人」として批判を続けてきた。 トランプ氏自体にも名前の間違いや、演説中の不可思議なフリーズ疑惑などもあったものの、世論はバイデン氏の高齢を懸念する声の方が圧倒的に強い。 トランプ氏の陣営から「どのような形式であれ、バイデンを可能な限り多くの聴衆に見せることが不可欠」との声が挙がるように、2人を並び立たせれば、その差は一目瞭然になるという自信の表れかもしれない。
両陣営は用意周到に準備を進める
バイデン氏、トランプ氏の両陣営はこの討論会が今後の戦略を決める大きな転換点となると見て準備に余念がない。 バイデン氏は20日から大統領の別荘キャンプデービッドに側近を集めて篭り、集中的に討論の練習や、発言の準備を行っている。大統領が丸々1週間も討論会の準備にあてるのは異例なことだ。 一方のトランプ氏も今月に入ってから共和党の有力者や政策の専門家などと協力して、準備を進めている。トランプ氏も「バイデンを見くびることはない」と強調している。 2020年の第1回大統領候補者討論会は累計で約7300万人が視聴したとされ、今回も同程度の視聴者が予想される。両陣営ともにここが勝敗を左右する乾坤一擲の機会になると見ているのだ。
勝敗の行方は?
選挙制度の問題や各州の色分けがはっきりした中で、大統領選挙はいずれにせよ大接戦となる見通しだ。ただ、直近の世論調査でもトランプ氏の方がやや風が吹いているという向きも強い。 自身の刑事裁判には追われているものの、バイデン氏もロシアのウクライナ侵攻やイスラエルとハマスの戦闘への対応で国内の反発は根強く、次男のハンター・バイデン氏も刑事裁判を抱えている。 アメリカメディアはバイデン陣営としては討論会でトランプ氏側に大きな揺さぶりをかけて、この流れを変えようとしていると分析する。 しかし実際には、この戦いはバイデン氏にとって大きな賭けになりそうだ。 アメリカメディアは、バイデン大統領が仮にトランプ氏の攻撃に言葉を詰まらせ、フリーズすれば、民主党内から大統領候補の差し替えを求める声が再燃するとの声も報じている。政治評論家からは「バイデンのパフォーマンスが悪ければゲームオーバー」と辛辣な批評も出ている。 また、「老人ホームのビンゴを巡る喧嘩」とも揶揄されるような、二人が悪夢のような罵声を浴びせ合って終われば、ただ国民に絶望を与えるだけとの見方もある。 逆に討論を優位に進めれば、大統領就任に向けた大きな足がかりなる可能性もある。注目の討論会がまもなく開始される。 (FNNワシントン支局 中西孝介)
中西孝介