大谷翔平「来季二刀流」を専門医が分析…完全復活のカギは「ハイブリット手術」とは異なる「新しい術式」にあった
「打者専念ならもっと上があるが」
ドジャース移籍1年目で念願のワールドチャンピオンに輝いた大谷翔平。現地メディアによれば祝勝会の最中、アンドリュー・フリードマン編成本部長に「(ワールドシリーズ制覇を)あと9回やるだけだ」と話したという。その第一歩となる来季についてフリードマン編成本部長は東京ドームで行われる開幕戦での二刀流復活を「理想的」と期待。 【写真】す、すけている…全米も絶賛!大谷翔平の妻・真美子さん「衝撃のドレス姿」 気になる昨年9月19日(現地時間)に手術した右肘の状態、来季の活躍予想をそれぞれ専門家が解説する。 54本塁打、59盗塁。前人未到の「50・50」を大きく上回る数字を残して、ファンだけでなくチームメイト、ライバルらをも驚かせた今季の大谷。開幕前に「本塁打は50本が最低ラインで打点との二冠王、さらに盗塁王のタイトルの可能性も十分にある」と予見していた野球評論家の藪恵壹氏も、その活躍には称賛を惜しまない。 「18年のオフにトミー・ジョン手術を受けて19年は打者一本で臨むことになったときもフル出場できればホームランは50本打ってもおかしくないと話していましたが、それにしても今季はすごい成績でしたね。 見ていて改めて感じたのが対応力の高さ。メジャーは入れ替わりが早くて新しい投手がどんどん出てきますが対応しますし、ナ・リーグ優勝決定シリーズでのメッツの横手左腕マナエアとの対戦もそうでした。第2戦では3打席、完璧に抑えられましたが、次の第6戦の第1打席ではヒットを放って逆転の口火を切った。 このまま打者専念となれば、まだ上があると思いますが、本人は投手もやりたいんでしょうし、リハビリ過程を見る限り手術した右肘も順調そうですから、来季は二刀流復活も楽しみです」 だが、実際に大谷がどんな手術を受けたかは明らかにされていない。来季の開幕戦を万全の状態で迎えることはできるのか。
「今まで行われていない術式」
トミー・ジョン手術の豊富な執刀歴だけでなく、大谷の手術後、施された術式との見方が広がった「ハイブリット手術」(トミー・ジョン手術に加えて人工靭帯も移植)の経験も持つ京都府立医科大学整形外科の木田圭重医師は「あくまで推測にはなります」と断った上で、次のように解説する。 「いろいろな報道などを総合して考えると靭帯の修復と移植による補強手術だったと思います。トミー・ジョン手術をやり直したとしたら半年でバッティング許可が出るとは考えにくいのですが、大谷は2月のキャンプでかなり強いスイングをしていました。トミー・ジョン手術よりリハビリ期間が短いハイブリット手術にしても代理人のネズ・バレロ氏の術後の声明では『補強する手術をした』という言い方しかしていませんでした。 また、バレロ氏の声明の中で紹介されている執刀医のコメントは『viable tissue』という英語単語が使われていた。生体組織という意味で、人工靭帯なら『artificial ligament』。ですから、トミー・ジョン手術のように傷ついた靭帯を切除するのではなく、みずからの健康な腱とともに人工靭帯での補強、あるいは痛んだ靭帯は縫合して人工靭帯だけで補強するなど、人工靭帯を使用した術式ではなかった可能性が高いと考えられます」 木田医師は、損傷は比較的軽度で、この先、長くピッチャーができるように損傷部分に自身の別の部位から摘出した腱を重ねて修復、補強するという再建手術だったのではないかと見立てる。 「それは今までに行われてきていない術式で、バレロ氏が昨年12月に『この手術に名称はない』と言っている点とも合致します。18年オフのトミー・ジョン手術のときには右の手首から取った長掌筋腱を使ったと思われますが、今回は反対の左手首の長掌筋腱を取って使ったのでしょう。実際、大谷選手の左手首付近にそれをうかがわせる傷痕が見える写真もありました」 その場合の復帰プログラムはどういったものになるのか。 次回記事『大谷翔平「二刀流」来季に完全復活か…!届かなかった大偉業「トリプル40」達成も夢じゃない』で詳述する。
週刊現代(講談社・月曜・金曜発売)