<春に挑む・’22センバツ長崎日大>/下 新たな目標 全国レベルの体作りを /長崎
前年のリベンジを果たすべく臨んだ昨秋の九州地区大会。打撃力に定評があった長崎日大は初戦の小林秀峰(宮崎)戦、準々決勝の佐賀商戦と二桁安打の猛攻で快勝し、悲願のセンバツ出場に大きく前進した。 だが、準決勝で全国屈指の強打を誇る九国大付(福岡)の壁が立ちはだかった。初回こそ白川輝星(ひかる)選手(2年)の適時打で一時リードしたが、あとは防戦一方だった。九国打線は2枚看板の右腕・種村隼(じゅん)投手(同)、左腕・川副良太投手(同)に容赦なく襲いかかり、七回にはプロ注目のスラッガー、佐倉侠史朗選手(1年)に弾丸の右越え満塁本塁打を浴びてとどめをさされた。 「どこに投げても打たれる気がした」と種村投手。「試合中にかなわないと感じるほど圧倒的な力の差があった」と河村恵太主将(2年)。2―12で七回コールド負けを喫し、選手たちは意気消沈した。4強入りは果たしたものの、準決勝での大敗はセンバツ出場校選考時にマイナスに働く可能性もあるためだ。 それでも敗戦後のバスの中では「今日、肌や目で感じたことをこれからに生かそう」と皆で話し合い、前を向いた。九州地区大会を制し、秋の神宮大会でベスト4に入った全国レベルの九国大付と対等に戦える力を付けることが、チームの新たな目標になった。 選手たちが痛感したのは体格差だった。体を一回り大きくするため、秋から冬にかけて体作りからやり直し、ランニングやウエートトレーニングに力を入れた。要所で制球が乱れた反省を生かし、川副投手は投球フォームが安定するよう鏡を見ながらシャドーピッチングを繰り返し、種村投手は重さ3~4キロのダンベルを使って指先を鍛えてきた。 1月28日、池内一郎校長からセンバツ出場決定の知らせを受けた選手たちに、浮かれた様子は全くなかった。「今のチームでは通用しない。勝てるチームをしっかり作っていこう」。チームを引っ張ってきたマネジャーの緒方伊吹さん(2年)は、選手たちにそう語りかけた。 幾多の挫折を乗り越えてつかんだ23年ぶりの春の甲子園切符。約3週間後に迫った夢舞台に向け、ナインは闘志をみなぎらせている。「甲子園で九国にリベンジしてみせる」【長岡健太郎】 〔長崎版〕