ザリガニ釣って地域保全 和歌山県田辺市本宮町
和歌山県田辺市は24日、同市本宮町皆地で「皆地ふけ田アメリカザリガニ釣り大会」を7年ぶりに開いた。家族連れ15組50人が参加し、水生生物の生態系に大きな影響を与えるという外来生物のアメリカザリガニを釣り上げた。 【ザリガニ釣り大会の動画はこちら】 参加者は帽子をかぶり、竹のさおとバケツを持ってふけ田を散策。水面に目を凝らし、アメリカザリガニが隠れていそうな石の隙間に餌の付いた糸を垂らした。餌のさきいかの香りに誘われたアメリカザリガニが食い付くと、参加者から「釣れた」「逃げられた」といった歓声が上がった。釣り上げた総数は93匹だった。 大会では、釣り上げた中で最も大きい1匹の重さを競い合った。1位は田辺市秋津町の後藤嬉多さん(8)。「アメリカザリガニが逃げないよう、ゆっくり持ち上げるのが難しかった。来年も参加したい」と話した。2位は新宮市新宮の曽越和樹さん(48)、3位は田辺市あけぼのの榎本凱仁君(7)だった。 田辺市本宮行政局住民福祉課の松本美弥子さん(53)は「生態系について考えるきっかけになれば。採集して持ち帰った方は、捨てずに最後まで責任を持って飼育してほしい」と話した。 アメリカザリガニは昨年6月1日に「条件付特定外来生物」に指定され、販売目的での飼育や輸入、放出ができないなど規制の対象になった。 会場のふけ田は、6万~8万年前に四村川から分離された、貴重な生物が生息するという湿地。大会は2006年から毎年開催していたが、アメリカザリガニの減少と新型コロナウイルスの感染拡大を理由に、17年を最後に開いていなかった。今年はふけ田で例年より多くのアメリカザリガニが確認されており、水草やヤゴなどの生き物を食べてしまうことを防ぐため、7年ぶりに大会を開くことにした。
紀伊民報