持ち合い解消加速、株主総会は真剣勝負に-メガ2行トヨタ株売却方針
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)と 三井住友フィナンシャルグループ(FG)ではトヨタ株を段階的に売却していく案が出ている。政策株をゼロにする方針を打ち出している損害保険会社4社の保有分を含めると、合計で3兆2000億円、足下の時価総額の6%を超える規模のトヨタ株が売却されることになる。
個人投資家に期待
トヨタではさらに、グループ内での株式持ち合いの解消の動きも進む。ブルームバーグのデータによるとトヨタの源流にあたる豊田自動織機の7.55%を筆頭にデンソーや豊田合成、トヨタ紡織などで少なくとも10%超を保有している。今後、部品メーカーによる株式売却が進めば、トヨタにとっては金融機関と同様、安定株主を失うことを意味する。
ペラム・スミザーズのブート氏は、トヨタの不正は時代にそぐわない認証制度にも問題があり、経営の根幹を揺るがすような事態にはならないとみている。今年の総会で過半の株主の支持を得て豊田氏は再任されるとの見通しを示す一方、今後はトヨタは取締役の選任にあたってより慎重になっていく可能性が高いと述べた。
岩井コスモ証券の菅原拓アナリストは、持ち合い解消に伴い安定株主が減っていくのは確かだとした上で、新NISA(少額投資非課税制度)の開始もあって個人投資家を中心にトヨタのファンといえる株主が増えていく可能性があるとし、一定程度の受け皿になると述べた。
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Masatsugu Horie, Tsuyoshi Inajima