【毎日書評】意外と知らない「バックオフィス」業務の重要性。忘れがちな本当のミッションは?
特徴①:非定型業務よりも提携業務の占める割合が高い
バックオフィス業務は、日次・週次・月次・年次といったようなまとまった単位で行う業務が多くを占めるもの。 例えば、支払業務を例にとってみましょう。バックオフィス担当者は、仕入先から月初に請求書を受け取り、その月に支払うべき金額をまとめてリスト化し、月末に銀行振込を行い、最後に支払結果を会計帳簿に記帳する、という一連の業務を行います。 この支払業務は、請求書の内容や支払先などに多少の違いはあれ、毎月定期的に発生するルーティン業務です。(17ページより) そのため、「事務職」と呼ばれる事務処理専門の人材をまとめて雇い、ルーティン業務を繰り返し行う部署を設け、バックオフィス業務の効率化を図っている会社も少なくないようです。(17ページより)
特徴②:法律や会計ルールなどの専門知識を必要とする仕事である
バックオフィス業務を行うにあたっては、会社経営にまつわる法令やルールを知っておく必要があります。 例えば、法律であれば会社法や労働法、税法などが存在しますし、それ以外にも会計基準や簿記、さらには人材マネジメント、ビジネスモデルなど、会社経営をするうえで経営者が求められるレベルの知識も吸収し理解しなければ、本当の意味での業務遂行はできません。 また、その知識も一度覚えればいいわけではなく毎年変更されるため、自身を常にアップデートしなければなりません。(17ページより) つまりは膨大な知識が求められることになりますし、個人や自社だけではカバーできない業務も少なくありません。そのため各バックオフィス領域の専門家の力も活用しつつ、バックオフィス業務全体を設計していく必要があるわけです。(17ページより)
特徴③:会社全体の経営管理を司る業務である
バックオフィス業務は、事務処理だけを行う部署ではありません。バックオフィスが果たすべき価値は、「ヒト・モノ・カネ」の視点から経営者の意思決定をサポートし、課題解決へ導くことです。(17~18ページより) フロントオフィスが日々、事業をつくり上げていくなか、バックオフィスに求められるのは、フロントオフィスには見えない視点を持つこと。会社全体の視点から分析し、フロントオフィスや経営者に情報を提供し、現状としてある課題を把握。そして、将来に向けて一緒に課題解決を行うわけです。 つまり、それ単体では機能することができないのがバックオフィス。経営管理機能としてつねに会社全体を見渡し、長期的に会社が発展していくためにはなにを行うべきなのかを考える業務であるということです。(17ページより) 公認会計士・税理士・社会保険労務士である著者は、バックオフィスが持つ力やポテンシャルを強く感じ、この領域でキャリアを積み上げることの楽しさを享受してきたのだといいます。だからこそ、その魅力を伝えていきたいという意図に基づく本書は、バックオフィス業務の全体像をつかむために最適な一冊といえるでしょう。 >>Kindle unlimited、2万冊以上が楽しめる読み放題を体験! 「毎日書評」をもっと読む>> 「毎日書評」をVoicyで聞く>> Source: 日本実業出版社
印南敦史