【毎日書評】意外と知らない「バックオフィス」業務の重要性。忘れがちな本当のミッションは?
タイトルからもわかるとおり、『バックオフィス業務のすべてがわかる本』(植西祐介 著、日本実業出版社)は経理・人事・総務などの「バックオフィス」をテーマに掲げ、それらの機能と業務内容を解説した書籍。 一般的にバックオフィスは、会社の中核となる部署ではないことのほうが多いでしょう。そのため他部署から、「誰でもできる事務仕事で、プレッシャーがなくてラクそう」「どんな仕事をしているのかわからない」などといった不満を抱かれることが少なくないかもしれません。 つまり、「本来持つべき機能を果たしていない、ないしは、果たしているとみられていない」ということです。しかしバックオフィス業務は、じつは替えが効きづらい業務なのだと著者は述べています。 たとえば創業したての小さな会社は、社長自身やその近親者がフロント業務を兼務しながら、経理や採用といった各種バックオフィス業務も行っているケースが大半なのではないでしょうか。 それらの業務を気軽に誰かに任せてしまうと、たちまち重要な数値が見えなくなったり、組織づくりに支障が出たりしかねません。いわばバックオフィス業務を任せる人選は元来、きわめて重要な意思決定を伴うものなのです。 つまり、本来のバックオフィス業務は、経営者が大事にしている「会社の経営管理という心血の一部をわたす行為」であり、その責務は重く、寄せられる期待も高いものなのです。であれば、経営者の意図を理解して同じ視点で業務を回すこと=「経営者との接続」がバックオフィス業務の本質であり真のミッションであるべきなのです。(「はじめに」より) したがって、それこそが本書で強調されている大きなテーマであるわけです。きょうは第1章「バックオフィスを取り巻く環境を知ろう」のなかから、基本中の基本である「バックオフィス業務とはどんな仕事?」に焦点を当ててみることにしましょう。
バックオフィスとは?
冒頭でも触れたように、バックオフィスとは経理や人事、総務、法務といった業務を総称した部署のこと。「管理部門」や「間接部門」「コーポレート部門」と呼ばれることもあります。 営業部門や開発部門がフロントオフィスやフロント業務と呼ばれるのに対し、バックオフィスは会社の裏方の仕事を行う部署を示すために使われることばであるわけです。 つまり、そこで行われているのがバックオフィス業務。なお。その業務には大きく3つの特徴があるそうです。 ① 非定型業務よりも提携業務の占める割合が高い ② 法律や会計ルールなどの専門知識を必要とする仕事である ③ 会社全体の経営管理を司る業務である (16ページより) それぞれの特徴を確認してみましょう。(16ページより)