莫大な資産をめぐり、地方の名家で勃発した「跡取り問題」…当主夫人が「実子3人全員は不適合」と明かす「まさかの理由」
北条氏にゆかりのある名家で起きたお家騒動
戦国時代に小田原城を拠点とし、初代・早雲から5代目・氏直まで約100年に渡り関東を支配した北条氏。全盛期は武蔵、相模、上野など、関東八国まで勢力を拡大させたことで「関八州の大守」とも呼ばれた。 【マンガ】5200万円を相続した家族が青ざめた…税務署からの突然の“お知らせ” 北条氏によって、小田原は関東における政治、経済、産業、文化の中心として繁栄したが、1590年(天正18年)、豊臣秀吉率いる約18万の大軍が、“一夜城”を築いて小田原城を攻囲する。北条軍は約100日に及ぶ籠城戦の末に敗北、滅亡した。 ただし5代目・氏直こそ高野山に追放されたが、秀吉が北条氏の分家筋やその子孫に領地を与えたことで、北条氏の血統は続き、その家臣の一部もまた、令和の時代においても名家として名を連ねている――。 関東地方の外れにある旧家・A家もそのひとつである。歴史をさかのぼれば北条氏の家臣の家柄だ。現在は33代目にあたる当主(70代)が家長を務めているが、「家長が病に倒れたことで、実子たちによる跡目争いが勃発し、大変なことになっている」(分家のひとり)という。 お家騒動といえば昨年、男子の一子相伝で経営が引き継がれている食品大手「ミツカン」の創業家が被告になった裁判が話題となり、〈創業家の「男児を世継ぎにしたい」という執着が明らかになった〉などと報じられたが、A家はその逆で、「当主の実子たちの跡目への執着が、分家を巻き込んでの大騒動になっている」のだという。 車を走らせ屋敷を見に行ってみると、意外なほど母屋は質素で、長年にわたり丁寧に使われてきた日本家屋だった。ただし敷地内には離れ座敷や納屋もあり、大きな蔵もある。 厳重に施錠されていたが、蔵には「『開運!なんでも鑑定団』に出せば、ゼロが6~7つつく歴史的お宝が眠っている」という。地元では「冗談抜きでかつてはA家の敷地を跨がないで駅に行くことはできなかった」というほどの広大な土地を所有し、現在も至る所にA家が所有する不動産がゴロゴロとある。 分家を通じて取材を申し込んでみたところ、当主夫人の八重子さん(仮名・70代)が応じてくれることになった。 「跡目争いなんていう大袈裟な話ではないんですよ。主人の病も、今すぐ命に関わる状況ではありません。年齢のこともあって、周囲が急にざわつき始めたというのが本当のところです。ただ、我が子の行動については『何を馬鹿なことを…』と呆れてはいますが…」(八重子さん。以下同) 八重子さんの実子である2男1女の子どもたちは全員、“厄介な問題”を抱えているという。そのうえでA家には〈跡取りは男系男子に限る〉という不文律が存在するため、誰に家督を譲っても近い将来、〈男系男子〉の不文律が崩れてしまうか、もめてしまう状況に陥っているようだった。