お金で何でも解決できそうな“超富裕層”に共通している3つの悩み。「絶対に負けられない戦い」も
野村総合研究所の定義としては、純金融資産額が5億円以上の世帯が「超富裕層」とされているが、2021年に行われた調査の結果では9万世帯と意外に多い。にもかかわらず、その実態はあまり知られていない。 超富裕層たちは、閉塞感の漂う今の世の中とは無縁の、驚くべき生活を送っているという……。何でもお金で解決できそうな彼らだが、実は我々庶民と似た悩みを抱えているそうだ。 今回は、そんな彼らの悩みについて、国内外の超富裕層向けに執事やメイドのサービスを提供する、日本バトラー&コンシェルジュ株式会社 代表取締役社長の新井直之さんに話を聞いた。
食事は意外と質素だが「納豆は1パック500円」「米や卵は専用農場で作らせる」
「超富裕層の一番の関心事かつ悩みは3つあり、健康、お金、教育です」と新井さんは語る。 健康といえば、気になるのは彼らの食生活だ。朝は豪華な料理が食卓に並び、昼や夜はおしゃれなレストランでフルコースを楽しむ……そんなイメージがあるが、実際はどうか。 「人によって違います。味覚は幼少期に形成される部分が大きいらしくて、一代目で財を築いた場合は『お金持ちになってから良いものを食べるようになったけど、やっぱり俺は吉野家とマクドナルドが好きだな』とぼやく方が多いですよ。会食の時はそうもいかないので、いいレストランに行きますけどね。 あとは、自分だけで食べる時は納豆とご飯と卵、という方も意外といらっしゃいます」 スーパーでよく見かける3パック100円の納豆を思い浮かべ、親近感がわいた方もいるだろう。しかし「同じ納豆でも、我々が食べているようなものより10倍以上の値段はします」と新井さんは苦笑いする。 「納豆は、長い時間をかけて発酵させたもので、1パック500円くらい。お米や卵は専用農場で作らせて、生産者の顔が見えるものを食べていますね」 そこまでして普段の食事を質素にする理由は「フルコースばかり食べていると健康に悪いから」だという。
「アンチエイジングの注射に1000万円」日本では認可が下りていない医療を求めて海外へ
彼らの健康やアンチエイジングへの意欲はすごく、とんでもない金額を使うそうだ。 「骨髄由来間葉系幹細胞の技術を使った、1本1000万するアンチエイジングの点滴があります。これを受けるためだけに、海外のクリニックに行かれた方もいらっしゃいました。このように日本で認可のおりていない治療を、海外で受けるという方は多いですね。病気をしてしまった時に、日本ではできない幹細胞などを使った治療を海外でされた方もいます」 ビジネスで忙しそうな彼らだが、そのような情報はどうやって仕入れるのだろうか。 「それは主に執事の役目です。かつて、あるお客様から『家族が脳梗塞になって、半身不随になってしまったから、世界中の医療を使ってなんとかしてくれ』と頼まれた時には、文献を調べて、知り合いを頼って、なんとか有名な先生にアポイントを取りました」 海外で、しかも有名な先生の手術を受けるとなると、かなりの金額がかかりそうだが……。 「その方は治療に5000万円ほどかかりましたが、価値とリターンを考えれば『5000万円は安いよね。健康には代えられないし』と仰っていました。特に生命がかかっている時は、お金は払える人たちなので、金額は関係ないと考えるみたいです」 お金は払える人たちなのに「一番の悩みは健康、お金、教育」だ。お金について悩むとは、どういうことなのだろうか。