生活費のほとんどをクレカで払っています。物価高の影響もあり予想以上の請求額で2ヶ月続けて「あとからリボ」を使ったのですが、少額なので家計に影響はないですよね?
キャッシュレスが増え、クレジットカード決済でポイントを貯めるいわゆる“ポイ活”に励んでいるという話も耳にします。ですがこのクレジットカード決済、便利な半面注意点も多いのです。詳しく知って上手に使う方法を探ります。
クレジット決済、使い過ぎには要注意
物価の上昇が進んでいます。もはや「今月から○○の値段が上がります」にも慣れてしまいました。 日本銀行が行っている「生活意識に関するアンケート調査(第97回<2024年3月調査>)」によると、“1年前と比べて支出を増やしたもの”の質問に、食料品52.6%、日用品(洗剤・雑貨等)32.4%と回答しています(※1)。賃金の上昇がそこまで進んでいないことを考えると、頭の痛い状況です。 2項目は、いずれも日常的に購入する生活必需品です。生活費のほとんどをクレジットカードで決済している相談者は請求書の金額を見てがく然、想定よりも多い金額だったに違いありません。今月はとりあえず“あとからリボ”で乗り切り、翌月に挽回するつもりで過ごしました。「大きな買い物をしたわけではないので大丈夫でしょ」と気軽に判断したのでしょう。 一般社団法人日本クレジット協会は、クレジットカードに関するアンケートを実施しています(※2)。これによると、使用にあたって不安に思うことの質問に対して回答は、(1) カードの盗難・紛失、(2) 個人情報の漏えい、(3) 後払いのため使い過ぎ、となっています。 現金払いに比べて使い過ぎる傾向があるクレジット決済です。「支払えるか? 」を確認しないで安易に使用すると、後から請求書を見てビックリ。思わぬ借金を背負うことにもなりかねませんので、要注意です。
リボ払い、仕組みを知らずに使うと大変なことに
本題のリボ払い(リボルビング払い)です。これはあらかじめ設定した金額を毎月払っていく支払い方式です。一括払いではない点は分割払いと似ていますが、支払金額の違いを比較します。 初月に3万円、翌月に6万円の買い物をしたとします(ここでは手数料を考慮していません)。 <分割払い>ともに3回の分割払いをする場合 1月目 1万円 2月目 3万円=1万円+2万円 3月目 3万円=1万円+2万円 4月目 2万円 <リボ払い>毎月2万円のリボ払い設定 1月目 2万円 2月目以降も完済するまで2万円 分割払いが支払い回数を指定するやり方に対して、リボ払いは支払金額を指定します。リボ払いには「月々の支払いを一定にできるので家計管理がしやすい」というメリットがありますが、「自分の利用金額に対して支払った金額が分かりにくくなる」という大きなデメリットがあります。 実際にはいずれの場合も手数料が掛かります。リボ払いの支払額の算出方法を見てみます。 <例>4月11日に5万円の買い物をして、毎月2000円のリボ払いに設定 (カード支払いの締め切りは毎月10日、請求は翌月2日とします) ・初回支払(6月2日)2470円=2000円+手数料 手数料の計算式 470円=5万円×15.0%(実質年利)×(23日/365日)* *初回の手数料は締日から支払日までの日割り計算(5/11~6/2までの23日) ・2回目支払(7月2日)2600円=2000円+手数料 手数料の計算式 600円=4万8000円(残高)×15.0%÷12 このように残高に対して、実質年利を乗じた(上記の例では15.0%)手数料が掛かります。 相談者は「少額なので」と言っていますが、 “毎月上乗せ”と考えると軽視できる金額ではありません。これは借金であることを認識することが重要です。 また“大きなデメリット”である「自分の利用金額に対して支払った金額が分かりにくくなる」について補足します。今後もリボ払いを続けた場合、自分の残高はいったいいくらなのか把握しづらくなります。 毎月の負担は設定金額だけで済みますので、ついつい使い過ぎる心配もあります。使い過ぎると返済期間が延びるだけでなく、返済金額が増える可能性もあるので注意しましょう。というのは、リボ払いには大きく2つの方式があります。 1. 定額方式 支払残高の金額に関係なく毎月一定額を支払う方式 2. 残高スライド方式 支払残高の金額に応じて毎月の支払金額が段階的に増減する方式 (図表1)