本田圭佑のメルボルン入団で現地メディアの注目はカンボジア監督兼任問題
W杯ロシア大会で日本代表として活躍した本田圭佑(32)が15日、オーストラリアのメルボルン・ビクトリーへの入団発表を現地で行った。現地メディアは、本田の話題を大きく取り扱った。とりわけ注目を集めたのはカンボジア代表チームのゼネラル・マネジャー兼監督に就任、異例の二刀流プレーヤーとなる点だ。 オーストラリアン紙は、390万豪州ドル(約3億1200万円)の1年契約であることを伝えると同時に、このカンボジアのGM&監督を兼任することについて掘り下げた。 ビクトリーのアンソニー・ディ・ピエトロ会長は、同紙に「クラブ史上で最も大きな契約。我々のクラブが持つ野心を示したもの。この契約で、Aリーグで初となるクラブ会員3万人を突破できると信じている。カンボジア代表チームでゼネラル・マネジャー、監督に就任しながらビクトリーでプレーすることがアジアサッカー連盟のルールに引っかかるという懸念があったが、それは払いのけた」とコメント。 ビクトリーのケビン・マスカット監督も、カンボジア代表監督就任に関する問題について、逐一連絡があったことを明らかにし「圭佑との話し合いを通じ、本田のマネージメント側は、彼の将来に対するモチベーションと計画について実にオープンで正直に話してくれた。長期的、短期的に重要な点は、彼がメルボルンにいることで、我々の試合や練習に対して妥協することはないということだ」と、カンボジア監督との兼任プレーについての不安を打ち消した。 また本田自身の「自分は今日からビクトリーの選手。ファンのためチームメートのために良いプレーをすることに集中する。カンボジアは大きな問題でない」という声も紹介された。 ただ同紙は「本田がどのように2つの役割をこなしていくかはまだ不明だが、カンボジアが、11月8日と同24日にスズキ・カップを戦うことで、その状況が、すぐに試されることになる。その間、ビクトリーは11月11日にセントラル・コースト、同25日にシドニーFCとの試合を控えている」と、日程的な問題があることを指摘した。マスカット監督は、「フィジカル面に何の問題もないが、どれくらいの状態かを見ていくことになるだろう。リスクを負うようなことはしない」と、説明しながらも、来週行われるFFAカップ戦のAPIAライカード・タイガース戦がデビュー戦となる可能性を明らかにしたという。 豪メディアのNine Networkも、このカンボジア監督との兼任問題に注目した。 「ビクトリーをカンボジアより優先」との見出しを取り、「元日本代表の本田はカンボジア代表チームでの役割を受け持つがビクトリーを最優先することを改めて明らかにした。カンボジアでのポジションは、コーチのフェリックス・ゴンザレス氏と共に働くゼネラル・マネジャーとされている」と伝えた。 「日本のスーパースターは、カンボジアでクラブを持ち、サッカースクールもいくつか経営している。代表チームには、ビデオを通じて助言をしていくことが、ほとんどになると報じられている。マスカット監督は『チームは、本田のカンボジアでの大望について常に認識していた』と明かした。本田の優先順位はビクトリーにある」と説明した。カンボジア監督の就任会見では、テレビ会議などを通じて、指導を行っていく方針を本田は明らかにしていたが、その情報を伝えつつ、本田が選手を最優先に考えている部分を好意的に強調した。Aリーグは10月19日に開幕するが、5度目の優勝を目指すクラブの戦力にならなければ、このカンボジア監督との兼任問題は、本田にとってメディアの格好の材料になるのかもしれない。