「神は細部に宿る」そのもの ベントレー・ベンテイガ V8 Sへ試乗 水を差す欠点はほぼナシ!
W12エンジンは終了 現行はV6かV8のみ
神は細部に宿る。ベントレー・ベンテイガには、まさにこの言葉が当てはまる。 ドライバーの正面へ据えられたメーター用モニターには、ベンテイガを立体的に描いたグラフィックを表示できる。その中の小さなウインカーは、ボディ側のランプと同調して点滅する。ブレーキペダルを踏めば、ブレーキランプも光る。 【写真】「神は細部に宿る」そのもの ベントレー・ベンテイガ V8 S 競合しそうな高級SUVは? (202枚) 実際に押せるハードスイッチが各所に並び、カチカチと鳴る音までデザインされている。どれも製造品質は極めて高く、インテリアは完璧といえるほど精巧だ。 ボンネットを開けば、裏側の遮音材までキルティング加工されている。リアの中央にあしらわれた羽ばたく「B」のロゴを押せば、スーッとテールゲートが開く。些細なことかもしれないが、どれも巧妙なものだ。 オプションは多彩。複数のトリムグレードが設定されるほか、オーナーのお好みで、細かな部分まで独自に仕立てられる、パーソナライゼーションも充実している。 ベントレーは、W型12気筒エンジンの生産を終了した。現行のベンテイガへ搭載されるのは、455psを発揮する3.0L V6ターボエンジンか、549psを発揮する4.0L V8ツインターボエンジンの2択になった。その前者は、プラグイン・ハイブリッドだ。 2024年には、500馬力前後が物足りなく見える、という人もいらっしゃるだろう。アストン マーティンDBX707は707psだし、ランボルギーニ・ウルス SE PHEVは800psあるのだから。
壮観なSUVが凄まじい勢いで加速する
でも大丈夫。2025年には、ベンテイガにも750psのV8プラグイン・ハイブリッドが追加される予定だ。 とはいえ、アウディ由来の4.0L V8ツインターボが役不足ということはまったくない。まるで大聖堂のように壮観なSUVを、凄まじい勢いで加速させる。2416kgある車重をものともせず、0-100km/h加速時間は4.5秒でしかない。 その間に放たれるエグゾーストノートは、深く重厚。スポーツ・モード時は、クルマ好きの気持ちをくすぐる。W12エンジンの存在を忘れさせるように。 ちょっとワイルド過ぎる、と感じなくもない。約20万ポンド(約3800万円)の高級車だから、もう少し上品に振る舞った方が、好意的には受け止められそうだ。セミマットのオレンジ・フレイムサテン塗装のことは、別として。 コンフォート・モードを選べば、印象は一変する。エグゾーストノートはぐっと抑えめになり、心地良い唸りへ転じる。アクセルレスポンスも緩やかになり、リラックスして走りたいというドライバーへ応えてくれる。 特に感心するのは、サスペンションの変化ぶり。スポーティな「S」では、アクティブ・ロールマネジメントを実装。後輪操舵システムと適度な重み付けのステアリングが相まって、高速コーナーでの敏捷性や安定性と、市街地での快適性を両立している。 速度抑止用のスピードバンプを通過しても、エアスプリングが吸収。22インチという巨大なアルミホイールでも、殆ど気に留める必要はない。