大義なし?”三度目の正直”と「大阪都構想」持ち出した背景とは 透ける維新の党内事情 住民投票実現には壁も
住民の本音は「もうええでしょう」? 再々挑戦には民意が必要 維新どうする「万博後」
【宮本華・内政キャップの解説】 「大阪都構想」の住民投票の結果は、1回目(2015年)は賛成49.6%・反対50.4%、2回目(2020年)は賛成49.4%・50.6%と、いずれも僅差での否決でした。「都構想」はこれまで2度にわたって大阪市の民意を二分してきたわけです。 大阪・関西万博を推し進める維新には「万博後」の目玉政策が必要という内情があります。維新は今年に入り大阪府内の市長選で維新の負けが続き、日本維新の会は10月の衆院選で多くの野党が議席を伸ばす一方で議席を減らしました。 党の立て直しを図りたい維新にとっては「推進力となる目玉政策は都構想しかない」という考えがあるとみられます。
ただ、3度目の大阪都構想の住民投票を行うにはハードルもあります。 維新は大阪市議会、大阪府議会で過半数を得ているものの、次に行うとなると3度目の住民投票となり、実行には民意の裏付けが必要となります。去年の統一地方選挙で維新は都構想を封印し公約でも掲げていませんでした。 民意を得る方法としては、都構想を掲げての知事・市長の出直し選挙か、都構想の住民投票を行うことの是非を問う住民投票(住民投票をするための住民投票)を行うという2つの案が挙がっていて、いずれもお金のかかる複雑な手続きといえます。 また、そもそも「都構想が必要なのか」という指摘もあります。これまでの大阪都構想の議論は「二重行政の解消」が主なテーマでした。しかしこの10年の間に、大学や研究所の統合など、二重行政は解消されてきているといえます。つまり、もはや大義がなく、議論が盛り上がらないという点が懸念されています。 「大阪都構想」に向けた熱は現状、大阪府内で高いとはいえず、このタイミングで持ち出してきたことは維新にとって賭けといえそうです。