センバツ高校野球 常総ナイン57人を支える 76歳寮監、成長見守る /茨城
◇選手との生活「元気の源」 第96回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)に3年ぶりに出場する土浦市の常総学院は、県内外から集まった2、3年生57人が寮生活を送る。選手たちの生活を支えているのが、2013年から寮監を務める下村孝さん(76)だ。孫と同世代の選手との生活を「元気の源」と語り、成長を見守っている。【川島一輝】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 学校近くに生まれ、今も近隣に住む下村さんは、1983年の創部から応援し続ける古参のファンでもある。 自身も石岡一高時代、軟式野球部で白球を追った。卒業後は「人の役に立つ仕事がしたい」と土浦市の消防士に。消防や救急の最前線で約40年活動した。 火元の扱いや急病人への対応に慣れた下村さんの経歴が買われ、退職後、懇意の同校関係者から「野球部の寮監をしてくれないか」と依頼された。「木内(幸男元監督)さんの時代から選手たちの練習する声を家で聞いていた。地元から愛されている常総野球部に関われることほど幸せなことはない」と、二つ返事で引き受けた。 現在は、顧問の教師たちと交代で週3回、寮で寝泊まりし、各フロアの安全や登校を見守り、選手たちの健康状態に気を配る。時には進路相談に乗ったり、消防士を志す選手の面接の練習に付き合ったりと生活面以外の面倒も見ている。 寮生の菅沢駿吾選手(3年)は「いつも優しくて、おじいちゃんのような存在」と信頼を寄せ、中川皓太選手(同)は「気軽に話すことができ、寮の雰囲気を明るくしてくれている」と人柄を語る。 前回出場した21年はスタンドで応援。今回はテレビの前で見守るという。「選手たちと日々接するから元気。どんな薬より一番効く」と明かす。日本航空石川との初戦に向け、「難しい試合になると思うが、目標としてきた甲子園。目いっぱい自分たちの力を見せてほしい」とエールを送る。